インタビュー

2009/03/02

脇雅史参議院議員インタビュー

◎「21年度予算は史上最強の前倒しを」

◎投資的経費の3カ年計画必要

◎内需拡大、雇用創出緊急インタビュー

◎脇雅史参議院議員



 「100年に一度の経済危機」が叫ばれる中で、世界的に内需拡大の動きが活発化してきた。日本

工業経済新聞社では自民党の脇雅史(わき・まさし)参議院議員に緊急インタビューを行い、景気対

策、雇用創出に対しての見解を聞いた。脇議員は「世界各国では公共事業をやろうというと喝采され

るのに、日本ではブーイングされる」という問題点を指摘した。また雇用対策の観点から平成21年

度予算は「史上最強の前倒し」をするべきと述べている。さらに21、22、23年度を対象とした

実施計画を作成し、政府として3カ年の投資的経費を国民に示す必要性があると話している。



「世界的に大変な経済不況にきている。悪循環してくるので、雇用も縮小していくし、個人所得も伸

びないし、需要が減る。またそれが繰り返すということが、世界規模で起こっている。G7でも、各

国協力して需要をつくろうと言っている。市場に任せるとどうしようもないから、各国で足並みを揃

えて、政府が財政出動しようと。政府自身が直接需要をつくるのが、即効的で一番良い。アメリカの

オバマ大統領もやっている。実需要をつくろうという時に、誰が考えたって、真っ先にくるのは公共

事業。世界各国では公共事業をやろうというと喝采されるのに、日本ではブーイングされるという、

まったくおかしな世界になっている。必要な、みんなのためにやらなければいけない仕事というのは

ある。例えば舗装が悪くなったのを放っておけば、穴が開いて車やバイクが転倒してしまう。道路の

舗装というのは、きちんとメンテナンスをしなければいけないわけだが、今はお金が少ないからとい

って、ずっと減ってきている。5年で打ち替えなければいけないところがあっても、6、7年に延ば

すとか、10年のところは15年に延ばすとか、みんな我慢している。そういう問題があるから、そ

れをこの際やりましょうと仕事を出せば、そのまま実需要になる。例えば痛んでいる水門を取り替え

れば、まさに実需要。必要な公共事業をやりましょうということだ。バラマキとか言っている人がい

るが、あちこちで起こっているのだから、あちこちでやれば良いだけの話。例えば下水道だって、今

も整備されていないところがあれば、この際やりましょうと。あるいは空港や港湾や、将来の経済発

展に役立つ分野をやりましょうとか、新幹線をやりましょうとか。高速道路や電線地中化など、色々

なことがある。それをどんどんやるわけだが、どうせやるならば、本当にみんなが喜ぶところからや

ろうと。しっかりした計画が必要になる。例えば3年とか5年の期間に、どれくらいの規模でどうい

う仕事をやっていくかということを、戦略的に進めていかなければならない。日本の今後のあり方を

見据えた上で、計画的にやらなければならない。その時に、ただ補正予算を打つというのでは駄目。

お金だけくるから使えというと、今使えるところしかやらない。つまり、補正はそもそも戦略的にな

りにくい。補正を出すくらいなら、最初から本予算と合わせて、この規模でやるには、何をしたら良

いかという発想になる。それも、単年度では駄目だから3年とか5年という期間を考えながら、その

間にどんな仕事ができるか。やるのに3年かかるものや10年かかるものがあるのだから、1年ごと

に考えたって、全体がなかったら駄目。長い期間を考えた中で、この3年間でこれだけのことをやり

ましょうと。そうすると国民の皆さんにこれだけ良いことがありますよという話が出てくる。政府が

財政出動して、そういった実需要をつくらなければいけない。計画策定のプロセスの中では、地方の

意見、住民の意見をさらに聞かなければならない。また今の時点で考えてみると、1次補正、2次補

正ときて、来年度予算が決まるのだから、まずはその執行をすることが大事。策定された予算をすぐ

実行することが、今、政府にとって最大の雇用対策であり、経済対策になる。平成21年度予算は徹

底的な、史上最強の前倒しをしろと言っている。上半期に全部やれと。維持修繕などは年月にあわせ

てやらないといけないから、前倒しをやっても9割できるかどうかだとは思うが、そのくらいを目標

にしろということだ。それは大変な手間がかかるから、早くきちんとしたメッセージを出して、地方

政府にもそういう動きをさせないといけない。ただ、前倒しをすると後半になくなる。8月末までに

22年度予算の概算要求を出すが、21年度の下期と22年度、23年度を入れて、最低3カ年の実

施計画をまず作る。その3年間でこういうことをしますということを、しっかりと言ったほうが良い

。政府の投資的経費について、3カ年計画をたてろと。具体的に予算要求できるベースで出すとなれ

ば、この地域にいくらというように、箇所別くらいまで検討した上でやる。単年度予算ということに

縛られずに、投資的経費については、将来のことを踏まえた3カ年計画などで、国民に明らかにしな

さいと言っている。3年分を明言しないと、仕事が増えるといっても、どれだけ増えるかある程度わ

からなければ、会社側も人を雇えない。仕事が増えていけば、ダンピングも自然になくなるだろう」


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