太田大臣インタビュー「建設業は日本守る担い手」
太田昭宏国土交通大臣が建設専門紙記者会の共同インタビューに応じ、建設業の将来像や防災・減災にかける意気込みを語った。今月14日に閣議決定した2015年度当初予算で国土交通省の公共事業関係費は前年度比で微増となったが、太田大臣は建設業が日本を守り、未来をつくる担い手としての役割を果たすためには今後も持続的で安定的な予算確保が重要と指摘。また、消費増税前の駆け込み需要の反動減が続く住宅着工状況に対して、国として支援策を充実させていることを強調し、経済波及効果が大きい住宅市場の活性化へ意欲を見せた。
―公共事業の重要な担い手となる建設業の将来像について
太田 建設産業は日本にとって極めて重要な役割を果たしていると思う。阪神・淡路大震災から20年、東日本大震災から間もなく4年が経過しようとしている。首都直下型地震や南海トラフ地震が懸念され、雨の降り方が異常な状況になっている日本を守り抜く、命を守る公共事業の担い手が建設産業。また、大都市部における都市再生や地方創生の担い手でもある。そういう意味では未来をつくっていくという大事な役割を担うために、建設産業には是非とも頑張っていただきたい。
建設投資の急激な減少、公共事業が悪玉だという風潮があったが、やっと払拭されつつあるなかで、やはり安定した仕事をしていただかなければならない。建設業はインフラ整備に関して地域における「町医者」でもあるし、日本を前に進める担い手でもある。そのためには、仕事をする人にとっては誇りを持てて処遇も良いということが大切で、経営側からみると仕事が安定的に持続的にあることが重要。予算編成では(前年度比で)少しでも増える、波を打たないことが大事で、これからも横ばい、あるいは、ちょっとでも上がっていくような予算編成が望ましい。
現場で汗を流している人が尊いという日本にしていかなければならない。建設業はまさにそれを具現化する職業だと思う。
―災害の激甚化が進むなか、今後の防災・減災対策はどうあるべきか
太田 経済戦略も大切だが、その前提として国土がしっかりと支えていることが大事であり、そこが忘れられている。災害が起きるたびに日本の国土は脆弱だといわれるが、安全で安心できる国土を常に用意することが我々の役目。雨の降り方は明らかにステージが変わってきている。今まであまり雨が降っていなかったところに大雨が降ったり、大雪になったりしているため対応が必要。ハード対策に加えてソフト対策も重要で、これからは情報提供型で、主体的に避難するという流れに大きく舵を切る年にしなければならない。
―今後の住宅市場活性化策について
太田 住宅市場の景気・経済への波及効果は大きい。税制面では贈与税の非課税措置について非課税限度額を過去最大水準まで拡充する。また、(住宅金融支援機構の)「フラット35S」の金利引き下げ幅の拡大、省エネ住宅に関するエコポイント制の実施も補正予算で措置させていただいた。住宅が買いやすいように最大限に追い風を送って、景気対策にも大きく寄与するような手を打った。住宅対策に政府が力を入れているということを感じていただき、(消費増税前の駆け込み需要に伴う)反動減から脱していく年にしたい。
―公共工事設計労務単価の1月中の見直しを指示したが
太田 去年10月に調査した結果を、できるだけ早く反映させるために1月中に結果をまとめたいと思っており、最終調整を図っているところ。どのくらいの(上げ)幅かといことは、もう少し時間が必要。
【写真=インタビューに応じる太田大臣】