建設業福祉共済団・茂木新理事長が就任インタビュー
今年2月に建設業福祉共済団の理事長に就任した茂木繁氏。公共事業の増加などを背景に掛け金収入は増加に転じたが、保険契約者数は減少傾向が続いている。「建設業界にとって役立つ存在でなければならない」と話す茂木氏に、今後の取り組みなどを聞いた。
―福祉共済団は今年45周年の節目ですが
茂木 共済団の現状を説明すると、掛け金収入は2012年度の30億円を底に改善され、14年度は33億3000万円になった。しかし、公共事業の削減などと連動して契約者は減少傾向にある。加入率は直近では建設業協会会員企業の50・2%。以前は会員100%加入という協会が全国に10数件あったのに、今は最高で80%台で、それが全国に3県しかない。45周年は通過点で、大きな節目は5年後の50周年だと考えている。今年は、建設業界にとって真に役立つ存在であり続けるための仕組みづくりの「仕込みの年」ととらえている。
―新たな仕組みづくりとは
茂木 具体的なことはまだ検討段階だが、現状の共済保険制度をベースにさらに拡充できないか考えている。今年12月ごろまでに内容を固め、16年度からスタートさせたい。保険の更新率は96%と高いが、それでも新規加入がなければ、じわじわと減っていく。加入促進につながる施策を考えたい。また、それとは別に新規加入に対して、何か直接的にインセンティブが与えられるような制度についても検討していきたい。
―本年度の取り組みは
茂木 保険事業や育英奨学金制度など着実に実施する一方で、本年度は建設業の広報に力を入れたい。建設業の担い手確保のためには、やはり多くの人の建設業に対する理解が必要。きめ細かい広報を行うには、やはり各県の建設業協会の力が必要。協会を通して共済団の予算で広報活動を展開する。予算規模としては1県あたり300万円程度を予定している。建設業界がさまざまな課題などに真摯に取り組んでいることをアピールしたい。
(もき・しげる)
72年東京大学法学部を卒業し、同年労働省(現厚生労働省)入省。02年に退官し、その後、勤労者退職金共済機構理事。中央職業能力開発協会の常務理事、損害保険ジャパン顧問などを歴任した。山形県出身。趣味は映画・音楽鑑賞、読書など。