大臣官房審議官 木暮康二氏インタビュー
7月1日付で新設された国土交通省の大臣官房審議官(土地・建設産業局担当)に就任した木暮康二氏が建設専門紙の共同インタビューに応じ、手腕が期待される中長期的な人材確保・育成対策への意気込みを語った。
木暮氏は厚生労働省から出向中。昨年、官庁営繕部担当審議官に就いた際、建設業界は独自の慣習や古いものの見方があるため新鮮な目で見て欲しいと言われたというが、「今回の人材育成・確保を担当する審議官は労働行政として携わってきた分野に近く、私自身の経験を生かせる仕事だと思う。ただ極めて注目の高い分野に私のような人間を配置したということは、それ自体が一つのメッセージ。今までの建設のやり方だけではなく、一般の産業や世の中の見方も含めて問題提起して欲しいという意味合いがあるのではないか」としながら、「外の目を忘れずに建築分野を中心に1年間経験したことも加味して、この重要な問題に取り組みたい」と抱負を語る。
今後の中長期的な人材育成・確保策の重要性を強調する木暮氏は「全国津々浦々で雇用が確保できるのは介護と建設業界だけ。生まれ育った場所で就職できるという魅力がある。また、ものをつくるから楽しいという面もあり、社会的な意義もある。建設産業は魅力的なのだから、他産業よりも高い賃金を払うという発想ではなく、社会保険未加入や週休2日制など他の産業よりも劣っている部分をきちんとやれば人は集まるはず」との考えを示す。
担い手3法の本格運用をはじめとして建設業界には大きな変化が訪れている。木暮氏は「ここ数年、業界自体が、かつてないような問題意識を強く持つようになった。我々もかつてない対策をしており、確実に変化している。この変化を本物にするためには、良いことだけではなく、苦しいこともあると思う。行政も汗をかくので、共に汗をかいて欲しい」と協力を呼び掛ける。
こぐれ・こうじ
1961年10月生まれ。東京都出身。東京大学法学部卒業後、1985年に労働省採用。厚生労働省労働保険徴収課長、労災補償部労災管理課長などを歴任し、2014年7月より国交省大臣官房審議官(官庁営繕部担当)を務めた。趣味はランニングで、週に2回は10㎞を走り、ハーフマラソン大会にも参加しているという。
【写真=「建設産業は魅力的」と語る木暮氏】