国土交通省 池内幸司技監就任インタビュー
国土交通省の池内幸司技監は建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、「建設産業や社会資本の役割と重要性を多くの方々に知ってもらうために、社会資本整備のストック効果、防災・減災・老朽化対策など地域の守り手としての建設業の役割についてしっかりと説明していきたい」と抱負を語った。
池内技監は「これまで公共事業を論じる際にはフローの短期的な効果に重点が置かれてきたが、社会資本整備の本来の効果はストック効果というのが長年の思い。中長期にわたり経済を成長させる効果があるストック効果を重視して社会資本の整備・管理を行っていくことが特に重要と考えている」とし、喫緊の課題である経済再生にも大いに貢献できると強調する。
防災・減災対策を進めるにあたり、地域建設業の重要性も指摘。「(災害発生の)初動時から実際に活躍する地域の建設業者は本当に大きな役割を果たしている。今後もいざという時に備えてブロック単位での包括協定の締結などを進めて、災害時の連携・協力体制を充実強化させたい」との見通しを示した。
少子高齢化社会を迎える中で避けて通れない課題となる生産性向上の問題については「建設業界はやっと安定的な経営環境が確保されつつあり、建設生産システムの抜本的な改革を図る絶好の機会が訪れている。ICTや3次元データ、情報化施工機械などを活用し、生産性向上に関係者が一丸となって取り組む必要がある」としながら、「担い手確保が重要な課題となる状況を悲観的ではなく、むしろ前向きにとらえて生産性向上を図る好期が来たと考えるべき」と訴える。
また、池内技監は「担い手の確保に必要なことは処遇、将来性、誇り。設計労務単価の上昇分を現場の技能労働者へ行き渡らせることや、公共事業予算の継続的・安定的な確保、現場で働く人が世の中で評価され、誇りを持って働くことができるような担い手確保・育成にしっかりと取り組みたい」と意欲をみせた。
いけうち・こうじ
1957年5月生まれ。兵庫県出身。1982年東大大学院工学系研究科(土木)修了、建設省採用。河川局河川計画課長、水管理・国土保全局河川計画課長、近畿地方整備局長、水管理・国土保全局長などを歴任し、2015年7月31日から現職。