国土交通省 西脇隆俊国土交通審議官就任インタビュー
国土交通省で国土や社会資本整備関係施策などの総括整理を担う西脇隆俊国土交通審議官は、建設専門紙記者会の就任インタビューに応じ、「ものづくりは崇高なこと。誇りを持てる産業にすれば人材は確保できる」として、産業全体の強靭化へ担い手の確保・育成に力を入れる考えを示した。
西脇審議官は「長い間『公共事業悪玉論』があり、無駄な公共事業が無駄ではなく、公共事業が無駄という話が続き、公共投資削減も続いたが、東日本大震災が起こって、あらためて国土の脆弱性が分かった。脆弱な国土の上に多くの人が密集して住み、世界に冠たる経済活動が行われている条件を整えている最も大きなものはインフラ。今の大きな課題である日本経済の再生、アベノミクスの効果を全国津々浦々に広げる地方経済の活性化を意識した時に、インフラがあることによって初めて経済活動が行われる」としながら、「今後は経済成長や日本経済の再生に、ストック効果を重視した社会資本整備を進めることで、どこまで貢献できるかが課題」と指摘。当面は現在策定中の社会資本整備重点に基づき施策を進めるとした。
新しい市場として海外展開の必要性も強調し、「中小・中堅建設業の中でも興味があり、優れた技術やノウハウを持つ会社がある。リスクの問題をケアしながら、チャンスがあれば海外へ出て行く支援をしたい」と進出を後押しする意向だ。
10年前には建設業課長を務めた。当時と比較して「異分野への進出が進み、特性を活かした取り組みを行っている印象がある。状況は様変わりしているが、厳しい状況が続いてきた中で、ここ数年は建設投資の下げ止まりが出ており、徐々に建設業界は活気を取り戻しつつあると思っている」との見方を示した上で、「産業全体を強靭化し、力強い構造に変えていく好期ではないか」と指摘した。
にしわき・たかとし
1955年7月生まれ。京都府出身。1979年東大法学部卒、建設省採用。大臣官房審議官(国土計画局)、道路局次長、大臣官房総括審議官、総合政策局長、大臣官房長を経て2015年7月31日から現職。