国土交通省 毛利信二総合政策局長就任インタビュー
国土交通省の毛利信二総合政策局長は建設専門紙記者会の就任インタビューにおいて、先を見通した公共投資の重要性を強調し、「今後の社会資本整備は『ストック効果』の高い事業に重点化することを貫いていきたい」との見解を示した。
先月、閣議決定した社会資本整備重点計画(第4次計画)について毛利局長は、「国土形成計画の実現に向けて今後の社会資本整備の方向性を決めるもので、これまでと異なりインフラの『ストック効果』の最大化を求めていく。その前提として集約・再編も視野に入れて適切なメンテナンスを行い、既存施設を賢く使うことに重点的に取り組む」と説明。また、現場の担い手を確保・育成する取り組みの骨格や、中長期的な視点から安定的で持続的な公共投資の見通しの必要性を閣議決定文に入れたことの意義を強調した。
今後は地方ブロックごとの社会資本整備重点計画を年度内に策定する。「地域の課題をしっかりと把握した上で地域はどうあるべきかを見据え、個別の具体的な事業名や時間軸も出せるものは出していきたい。国土形成計画の広域ブロック計画とも時期を合わせたい」との見通しを示す。
さらに「PPP・PFIの取り組みも進めたいと考えている。請負だけではなく、地方の建設業界にはPPP・PFI事業に乗り出していただきたい。リスクを取っても仕事をするという姿勢が出てくれば、新しい事業分野が必ずあると思う」と呼び掛ける。
インフラの老朽化対策に関しては、「本年度から実践段階に入る。ルールに従って各施設管理者が定期点検を行い、結果に基づいて修繕等の対策を計画的に進めてもらう。非常に多くの費用が掛かるという試算があるため、ライフサイクルコストを伸ばすことで平準化することが最も大事」とした上で、「引き続き命を守るような社会資本の整備とメンテナンスをしっかりとやっていきたい」と語った。
もうり・しんじ
1957年6月生まれ。島根県出身。1981年東大法学部卒、建設省採用。大臣官房審議官(国土政策局担当)、同(住宅局担当)、大臣官房総括審議官、土地・建設産業局長などを歴任し、2015年7月31日から現職。