国土交通省 菊地身智雄港湾局長就任インタビュー
国土交通省の菊地身智雄港湾局長は建設専門紙記者会の就任インタビューで、「成長を支える港湾整備や防災・減災対策という大きな期待を背負っており、重責を担うことについて身の引き締まる思い」と抱負を語った。
国交省の検討委員会で議論が進む技術基準の見直しについて菊地局長は、「2018年度の改訂を目指しており、久しぶりに大型の改訂になる。技術基準は不断の見直しが必要で、最新の知見を取り入れて、安全で効率的な整備ができるという観点で対応していかなければならない」と話す。
港湾の維持管理、老朽化対策に関しては「あらゆる社会資本に共通する課題で、計画的に進めていくことが必要。維持管理コストを圧縮していくことも重要なので、戦略的アセットマネジメントの観点から統合や機能の廃止も含めて考えていく」との姿勢をみせる。
港湾の防災・減災対策については「東日本大震災では非常に大きな地震動と巨大な津波で被災したものがあり、この二つにしっかりと対応する必要がある。今後は強振動に対して構造物が被災しないようにするとともに、被災直後から緊急物資の輸送ができるような耐震強化岸壁の整備を計画的に進めなければならない。防波堤整備や港湾施設の液状化対策も重要になる。地震の後に来る津波に対しても背後を防護するため防潮堤の整備などもしっかりとやっていきたい」との考えを示した。
東日本大震災では被災した太平洋側港湾の代替機能として日本海側港湾の重要性が見直された。菊地局長は今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震も想定して「日本海側と太平洋側の港の連携をこれまで以上に進めていかなければならない。被災直後にどの程度の代替機能を担えるのかを含めて、広域的なバックアップ体制の枠組みの中で日本海側港湾の位置付けを考えたい」とした。
きくち・みちお
1961年1月生まれ。宮城県出身。1985年東北大大学院工学研究科修了、運輸省採用。港湾局総務課危機管理室長、近畿地方整備局港湾空港部長、港湾局計画課長(兼)大臣官房広報戦略室広報戦略官、大臣官房技術参事官(港湾局担当)を経て2015年7月31日から現職。