国土交通省 谷脇土地・建設産業局長インタビュー
国土交通省の基礎杭工事問題に関する対策委員会が先月25日に石井啓一大臣へ再発防止策を含めた中間報告書を提出したことを受けて、今後は速やかに実行へ移す取り組みと、建設業の構造的な課題解決に向けた議論が進む見通しになった。今後の方向性について谷脇暁土地・建設産業局長に話を聞いた。
約2カ月でまとまった中間報告書に対して谷脇局長は「短い期間で中身の濃い議論を行い、再発防止策を示していただき感謝している。基礎杭工事の部分は関係部局と連携して速やかに実行する。構造的な課題については実行可能なものから順次行うが、難しい問題も多い。中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会で検討していただくよう準備している」との考えを示した。
また、「建設業はインフラ整備に加えて国民の安全・安心を確保するという重要な役割を果たしており、世界に誇れる技術も持っている。今回のような問題で建設業に対する信頼が揺らいだことは非常に残念。明らかになった課題の解決に業界全体で真正面から取り組み信頼回復に努めていただきたい」と期待を寄せる。
中間報告書では、基礎杭工事の適正な施工対策について◇設計方法の周知徹底◇施工ルールの策定◇工事監理ガイドラインの策定◇中間検査における工事監理状況の確認の4つの問題が指摘された。谷脇局長は「一般的な施工ルールの策定では、ルール案について今月中にもパブリックコメントを行う。他の3つについても施工ルールの策定スケジュールと合わせて進めていきたい」と話す。
建設業の構造的な課題としては、元請け・下請けの責任・役割の明確化と重層構造の改善、技術者や技能労働者の処遇・意欲と資質の向上、民間工事における役割・責任の明確化と連携強化が指摘された。谷脇局長は「建設業界全体の課題を抽出していただいた。個別の課題について対策を検討することは当然やっていく。報告書の中でかなり具体的に指摘されている部分もあるので、対策をきちんと考えたい。その際には建設業を取り巻く現状、それと将来の大きな流れを踏まえて検討していく必要がある」とした。議論の期間は明言していないが、「ある程度期間を区切ってやらなければならない」としている。