日建連 山内新会長インタビュー「建設業の評価を高める」
日本建設業連合会の新会長・山内隆司氏は専門記者会のインタビューに応じた。新会長としての抱負は「残念ながら建設業の評価はこれまで高くなかった。少しでも建設業の評価を高めたい。そのために週休2日制の徹底、社会保険導入の徹底など働き方改革を実行しなければならない。建設業に従事する人々が誇りを持てるようにする」と語った。
さらに「政府が進めるインフラ輸出についても建設業もオールジャパンとしてともに動き、寄与していく事が大切」と力説。「東京オリンピック・パラリンピックは国内外で建設業の評価を高める良い機会」としながら「協会では役割分担も広くし、活発な自由意見を出来るような場にしたい」と述べた。
特に週休2日については、「3月3日に国交省との話し合いで労働時間について要請を受けた。最大の努力を行うので猶予期間を持って、進めたいと返答した。発注者側からも週休2日制が可能なような発注方法をすると返答された」と説明。「以前は日曜全休も難しいと言われたが、今では当たり前のようになった。まず出来るところから進めていくしかない」と方向性を示した。
また労働賃金改善については、「製造業に比べ建設業は出遅れている。月間の稼働日を見ると20-25日だが、年末年始や盆休みは現場もほぼ閉所しているので20日にも満たなくなる。そういうことから他産業と比べ年収は低くなる。その辺の改善をしないと魅力ある産業にはならない」と警告を発し、「例えば炎天下でのフィールドワークはそれに見合う収入でなければならない。仕事がキツイのなら実入りが良くなければ人は集まらない。それを肝に銘じて我々は対処して行かなければならない」と分析。さらに「仕事が少ない時はどうしてもダンピングに走ってしまう。潤沢に仕事がある今こそ改善しなければならない」と改善の必要性を説いた。
建設キャリアアップシステムについては「処遇改善の一つのツールで、社会保険未加入問題を100%補足できる。現場が変わっても技量が適正に評価されるので、処遇改善に繋がる。そのためにもまずは普及させること。データの蓄積により構築されるものになるのだから」と論じた。
建設業を志す若者には「自分たちがやった仕事が形になることに誇りを持って欲しい」とエール。五輪後の建設業の見通しについては「先延ばしにした建設投資はやらないという事にもなりかねない。不景気になったら仕事はなくなる。インフラ整備より財政再建という事になったらハードルは高くなる。今出来る事はやらなければならない」と語った。
やまうちたかし 1946年6月生まれ。1969年東京大学工学部建築学科卒業後、大成建設に入社。2007年4月同社代表取締役社長就任、2015年4月同社代表取締役会長就任。2017年4月日本建設業連合会会長、同5月日本経済団体連合会副会長就任