日建連 押味建築本部長インタビュー「安全・安心を優先」
今年度から日本建設業連合会建築本部長に就任した押味至一氏は、「2012年3月に日建連建築宣言を出した。そこには安全・安心の建築・街づくりに貢献します、低炭素・循環型社会の構築に貢献します、世界に誇れる未来の建築文化を創造します、という3つの柱を置き、社会に貢献するべく行ってきた」と語る。これには「東日本の震災を経て、何よりも安心安全を優先するという事になった」と経緯を述べた。
高齢化による人手不足と建設業を志す人が減少したことで「建設業に携わる人口が急激に減った。それを解消するべく、また建設業の再生と進化へ向けて、2014年には建設業の長期ビジョンを策定して方向性を示した」と取り組みを説明した。「建築は杭問題もあったので発注者、設計者、施工者の3者間でも契約に関する見直しが必要だった」と当時を振り返える。
働き方改革の中でも中心のテーマである週休2日制については「日建連でも専門委員会を立ち上げた。若い人が入職するためには、環境が良くないと振り向いてもくれない。週休2日というひとつの象徴で一般にもアピールするよう、我々も大きな働きかけをして行かなければならない」とし、「現在は確保するべき人数に足りていない状況下にある。発注条件をどうクリアしていくか、工期の適切な設定などは、国交省にリードしていただき、我々もそれに向かって役割を果たし、さまざまな対応策を練らなければならない」と意欲を示した。
「合わせて生産性の向上が必要になる。そのためには品質も上げなければならない。ここのところ行政側と活発な意見交換をする流れになっている。議論の場が増えるのはありがたい」と良い流れを説明した。
また建設業に長く従事してもらうにはとの問いには「働き方改革の中で若者に対してどういったサービスが出来るかを考えなければならない。個人的には専業化は難しい時代になっていると感じる。手に職が就くまでの長い時間を我慢してもらえるようにどのようにサポートするか、もしくは分業するようバリエーションを用意して迎え入れるかといった業界全体が再編成する事も必要になるかもしれない」と独自の理論を展開。
「若者が入職するだけではなく長く居てもらえることが大事。それ後に続いてくる人たちが出てくる」と将来を見据える。
おしみよしかず
1949年2月21日生まれ。1974年東京工業大学工学部建築学科卒業後、鹿島建設入社。2015年6月同社代表取締役社長就任。同年6月日本建設業連合会副会長、2017年4月同副会長・建築本部長就任