日建連 尾崎勝建築設計委員長インタビュー「多様化がキーワード」
日本建設業連合会(日建連)建築本部建築設計委員長に就任した尾崎勝氏は、『多様化』をキーワードに建築設計の将来を見据えている。
就任抱負では「5年前に日建連が発表した『安全・安心の建築・街づくりに貢献します。低炭素・循環型社会の構築に貢献します。世界に誇れる未来の建築文化を創造します』」―という建築宣言は正に建築設計委員会の基本理念ともいえる。ただ、時代経過とともに付け加えなければならないものも出てきた。例えば身近な安心という点では、ユニバーサルデザインがあげられる。東京オリンピック・パラリンピックで海外の人が訪れた時に標識等が分かりづらいという事が無いように準備しなければならない。こういった事も我々の仕事だ。またウエルネスという言葉は省エネや快適性、生産性にまで及ぶ。例えばオフィスに当てはめれば理解できる と思う。総じて『多様化』がキーワードになる」と語る。
最先端の設計技術に関しては「聴覚・視覚・触覚といった五感で認識できるものが増えるだろう。例えばホーム転落を防ぐための足触りの変化とか、残業時間に移る際の照明の変化とか。ダイバーシティの意味でもそういう技術は必要」と期待を寄せる。
設計施工一貫方式については「品質、工期、工事費等といった部分でリスク回避してくれる力を望む声が多いが、多様なソリューションに大きく期待する。使い勝手や維持管理も含めて付加価値が出来るはず」と確信。
人材育成に関しては「ものづくりの魅力は変わっていないと信じている。それを若い人たちにも伝えていきたい。また海外に出るなど、早い時期に置かれた環境を変えることで成長も出来る。モチベーションを高めて自信を磨いていって欲しい」とエールを送った。
【略歴】
おざき・まさる 1972年東大工学部建築学科卒、同年鹿島入社。2008年執行役員建築設計本部長。2009年常務執行役員。2012年専務執行役員。68歳。