長野県長野市は、『長野都市計画道路の変更』案を6月6日予定の長野市都市計画審議会(会長=奥谷巌信州大学教授)に諮問する。
変更案は、「長野県決定・長野市決定」の2案。県決定案は、更に6月19日に予定し、長野県都市計画地方審議会に上程。
県施行対象となる3・5・56号真田線(主要地方道長野真田線)の一部のルートを変更する。同線は、国道117号青木島信号(交差点)が起点で、下氷鉋信号(交差点)からは主要地方道長野真田線となり国道18号と交差、上信越自動車道・長野電鉄河東線を横過し、松代町市街地を南北に縦断、皆神山西ふもとの鍋林松代センター(手前に県警察本部機動隊)付近が終点となる計画全長8230m街路。変更区間は、上信越自動車道南の3・5・65号西寺尾岩野線(国道403号※長野IC・松代ロイヤルホテル付近)との交差部から終点までのL約2860m。
現計画では、現道の東側にルートを設定していたが、さらにその東の市街地東端を流れていた関屋川(蛭川)の付け替えにより生じた廃川敷を利用したルートに変更。旧関屋川河川敷ルート部分の延長はL約1440m、その他の主に起終点部はL約1420m。道路の幅員構成は、起終点部が全幅18m。内訳は、車道3m×2(車線)、路肩1・5m×2(両側)、植樹帯1・5m×2(両側)、自歩道3m×2(両側)。廃川敷部は、植樹帯までは同じ幅員構成だが、その外片側に水路2mを設けるため全幅20mとなる。
変更ルートは、廃川敷のため用地の取得が容易で、家屋の移転補償の対象が少なく建設事業費を大幅に圧縮できる他、事業認可を得れば即着工できるメリットがある。地元松代町も既成同盟会を発足させ、同線の早期改良整備を県・市等へ陳情している。このため早期の事業化が期待されるところだが、同じく県施行で町内を現在整備中の国道403号改良が完了する15年度以降の事業化へ。
一方、市決定案は、3・5・67号西寺尾象山線の変更、特殊街路8・6・4号象山神社通りの追加、3・5・68号寺尾屋地線を廃止。
西寺尾象山線の変更は、交差する前記3・5・56号真田線の変更に伴い、交差点処理(右折車線3m)の変更等を行う。
また、特殊街路8・6・4号象山神社通りは、歴史的建造物の数多くある歴史的道ずじ(L約4km)の一角を形成する道路となるもので、歩行者専用道路として市が事業主体となり整備を行う。
さらに、3・5・68号寺尾屋地線の廃止は、3・5・56号真田線のルート変更により、L約100m程に近接するため、道路網の見直しより、都市計画道から外れる。
各計画案の概要は次の通り。
《県決定案》
【審議案件概要】
安全で快適な歩行空間の送出と松代地区の街並み保全を考慮した道路網に見直すことにより、良好な景観整備と交通の円滑化に資するよう都市計画道路中3・3・56号真田線を次のように変更する。
▼幹線街路3・3・56号真田線※変更後の全体計画(青木島町青木島字古谷~小島田町字田中沖経過~松代町豊栄字宮崎)=4車線W27m
〔車線数の内訳〕
・4車線=L約5370m
・2車線=L約2860m
〔構造形式の内訳〕
・嵩上式(篠ノ井杵淵字胴合~松代町東寺尾字村西下経過~同字村北)=L約760m×W23~25m
・地表式(前記以外の区間)=L約7470m×W18~34・5m、長野電鉄河東線と立体交差、自動車専用道路と立体交差1箇所、幹線街路長野中央線と立体交差、幹線街路更北新橋線と立体交差、幹線街路と平面交差8箇所※松代町東寺尾字村北地内で上信越自動車道の接続
【変更理由】
〔現状〕
松代地区は古くから城下町として栄えてきており、多くの歴史的遺産(神社、武家屋敷跡等)を残して折り、現道の真田街道沿線にもそのなごりが残っている。
この現道は、(主)長野真田線であり、真田町と長野中心市街地及び長野インターを接続する南北の重要な幹線道路となっているが、昔ながらの鍵の手形状の多い道路である。
既決定の真田線は、そのバイパスとして、隣接した位置へ決定されたものの、多くの歴史的遺産の残る市街地内を縦貫する計画となっている。このため、昭和57、58年に「松代地区まちづくり基本計画策定調査委員会」を設置、地区のまちづくりのあり方とそれの実現のための都市計画道路変更案を策定、続く平成6年度には歴道について調査検討し、先の都市計画道路変更案を基に、当地区にふさわしい道路網への変更を行う。平成6年には、松代中央線及び西寺尾岩野線の2路線に変更し事業着手、松代中央線は現在事業中であり、西寺尾岩野線は平成10年度末に完成している。平成9年には歴道事業の一部として真田公園線及び竹山町通りの2路線を追加し事業着手。
〔変更理由〕
当該計画決定路線沿線には、歴史的遺産が多く残っており、重要文化財の「長国寺」等の歴史的建築物や街並みを壊してしまう計画となっている。
このため、昭和58年策定の「松代地区まちづくり基本計画」や平成6年策定の歴史的地区環境整備街路事業調査に基づき、通過交通を排除し中心市街地及び神社等の歴史的史跡を避けるとともに、河川改修に伴い廃川敷となった旧蛭川の有効な土地利用も思慮し、昭和58年から提案されている旧河川敷を利用したバイパスルートに変更し、中心市街地の活性化及び歴史的景観の保全に寄与するものである。
平成2年より地元説明に入っているが、①河川の付け替え(平成5年完成)と廃川処理の方法が平成10年に調整できたこと。②中心市街地活性化基本計画及び都市計画マスタープランに位置づけされたこと。③この方針に沿って、今年度地元の合意形成が図られたこと。以上から、今回変更を行うものである。
〔基本方針〕
①伝統的建造物群の保存、街並み保存②庭園都市としての位置づけ③災害に強いまちづくり④観光サービスの機能の整備⑤高速交通網の整備(平成5年3月開通)
〔変更諸元〕
①L約8280m(2車線L約2860m×W18m、4車線L約5370m×W27m)※標準部幅員構成、中央分離帯2m、車道6・5m×2(計4車線)、路肩0・5m×2、植樹帯1・5m×2、自歩道4m×2②変更区間L約2860m×W20m③構造規格4種2級④設計速度60km/ha⑤将来交通量(H22)8500台/日
《市決定案》
【審議案件概要】
歴史的街並みや史跡など、貴重な財産が残されている松代地区で、景観や防災に配慮した歩行者空間の充実と、伝統ある歴史的環境の保全及び中心市街地への通過交通の流入を防止し、個性あるまちづくりの推進を進めるため、都市計画道路中3・5・67号西寺尾象山線を変更、8・6・4号象山神社通りを追加、3・5・68号寺尾屋地線を廃止する。
▼幹線街路3・5・67号西寺尾象山線※変更後の全体計画(松代町東寺尾字東田~松代町東条字東屋地経過~松代町松代字馬場町)=地表式L約3180m×W12m(2車線※車道3m×2、路肩0・5m×2、歩道2・5m×2)、幹線街路との平面交差5箇所
▼特殊街路8・6・4号象山神社通り(松代町松代字代官町~同字竹山町経過~同字有楽町)=地表式L約230m×W10m、特殊街路との平面交差1箇所※歩行者優先道路
【西寺尾象山線変更理由】
〔区域の変更〕▼3・5・56号真田線の変更に伴い、真田線と接続する3・5・67号西寺尾象山線の起点部において、真田線の幅員18mから既決定の西寺尾像山線の幅員16mに取り付けるため、区域の変更をするもの。▼3・5・56号真田線の変更に伴い、真田線との交差部に付加車線を設置するものである。現決定は幅員12mで付加車線はないが、今回真田線の位置の変更に伴い、交差点部の交通の流れをスムーズにするため、付加車線を設置する都市計画変更をするものである。▼3・5・68号寺尾屋地線の廃止に伴い、西寺尾象山線との交差点部の隅切りが不要となるため、区域の変更をする。
(起点の位置の変更)
▼3・3・56号真田線の変更に伴い、真田線と3・5・67号西寺尾象山線の一部(L約310m)が重複するため、起点の位置を変更する。
〔変更概要〕▼変更区間(L約270m)=松代町東寺尾字東田(L約70m)、松代町東条字西屋地(L約20m)、東条字西屋地及び字東荒町・松代字荒町(L約180m)
〔道路規格〕▼4種3級道路=都市部の1日交通量500台以上4000台未満▼車線数=2車線
▼設計速度40km/ha
〔将来交通量〕▼パーソントリップ(平成22年度)=300~900台/日※平成6年度「歴史的地区環境整備街路事業調査」による。
【象山神社通り線変更理由】
〔基本方針〕 歴史、文化、自然環境を生かした道づくりをとおして、庭園都市松代のまぢづくを進める。
▼伝統的建造物の保存、まちなみ保存=歴史的建造物や寺院を保存し、かつ城下町特有のまち並みも保存しながら、現在にも活用できる道路計画網とする。
▼庭園都市としての位置づけ=多く残る武家屋敷等の歴史的資産、泉水路のような独特の水路、そして周囲の田園風景、山並みといった松代全体が庭園のあなかに発展存在するような庭園都市としての位置づけをする。
〔整備の理由〕 当計画路線は、歩行者を中心とした道路網の一部として、歴史的まち並み整備を支援し、歴史、文化、自然環境などと調和した、整備を図る路線(歴史的道すじ)に位置づけられ、歴史的道すじとして既に整備済の「竹山町通り」と交わるため、歴史的まち並みと水が調和する道すじとして整備を図る。
また、当計画路線周辺には、地域に親しまれている象山神社を中心に指定史跡などの歴史的建造物が共存しており、参道的イメージを持たせつつ、四季折々の彩りに飾られる風景を、訪れる人々が楽しめる道すじを造る。
象山神社西側から代官町の通りまでの間は、歩行者を優先する一部石畳化した歩行者と車の共存する道路として整備を進め、地域の人々と訪れる人々が出会えるまち造りを推進。道の傍らを流れる水路は、豊富な水量を利用し、泉水路を結ぶセギの再現を目指し、庭園都市松代のまちづくりに資する。
〔変更概要〕▼変更区間(L約230m×W10m)=松代町松代字代官町~有楽町
〔道路規格〕▼特殊街路=歩行者を優先する道路(車線数無し)
〔今後の方針〕 松代地区は高速道路の開通、インターチェンジ設置と、時代の大きな転機の中に置かれており、車に対応した都市計画道路の整備と、人が地域を周遊する歴史的道すじの整備を同時に進める。
歴史的道すじは、道とまち並みの景観が、周囲の景色と調和して創り出されるため、沿道のまち並みの整備保全が不可欠となり、修景を維持していく上で、地域居住者の歴史的まち並みに対する思いが重要である。
今後各地域において、提案されている歴史的道すじの整備の内容と、地域の土地利用を基に対話を重ね、地域の考え方を尊重し、合意に至った路線から段階出来に計画整備していく。
【寺尾屋地線変更理由】
〔路線の廃止〕 3・5・56号真田線の変更に伴い、真田線と3・5・68号寺尾屋地線が近接(L約100m)するため、道路網の見直しによるものであり、計画交通量の検討において、寺尾屋地線を廃止しても真田線1路線で処理できるため、真田線と寺尾屋地線の2路線を集約することにより、寺尾屋地線を廃止する。
〔変更概要〕▼廃止区間(L約1、420m)=松代町東寺尾字東田~松代町東条字西屋地