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千葉県習志野市

旧習高跡地に延べ1.5~1.8万㎡で/習志野市6月補正 東日本大震災で新庁舎建設準備加速

2011/06/02 日刊建設タイムズ

 習志野市は、東日本大震災による被害で本庁舎の耐震性の問題がより深刻さを増したとして、6月補正予算案に新庁舎建設に向けての調査費等を盛り込むこととし、同調査費のほか災害復旧費など合わせて4億3333万円を追加する今年度一般会計補正予算案を2日開会の市議会定例会に提出する。調査の進展によっては、9月議会以降さらに必要な予算措置を行い、新庁舎の早期着工を目指すとしている。

 同市本庁舎(鷺沼1-1-1)は、本館(SRC造地下1階地上7階建て、延べ4971㎡)が1963年、新館(RC造地下1階地上平屋建て、延べ1889㎡)が69年に建設されたもので、本館は築後47年、新館は築後41年を経過。さらに庁舎機能は分庁舎にも分散しており、市民サービスの低下を招いている。 本庁舎については、すでに耐震性などの課題が指摘されていたが、東日本大震災後の調査で柱や梁、壁などのひび割れ、床のたわみ(最大で55㎜)などが確認され、IS値も93年の耐震診断時に0.42だったものが0.30に低下した。このため、大地震が発生した場合には倒壊の危険性もあるとして、6月補正予算案に事業計画の詳細を検討するための調査委託費や専門家による検討委員会の設置費用として515万円を計上し、新庁舎建設に向けて準備を開始することにした。

 新庁舎は、現在の庁舎向かい側にある旧習志野高校跡地(面積3万5000㎡、第2種住居地域・第2種高度地区、建ぺい率60%/容積率200%)を建設予定地として、想定職員数約800人、想定議員数30人、その他市民利用も考慮。延べ床面積で1万5000㎡~1万8000㎡(現在の庁舎機能は分室等も含め延べ1万4609㎡)を想定している。

 庁舎建設基金は約10億円にとどまっており、地方債を発行して財源を確保するにしても、起債基準等を勘案すると市が自前で資金を調達し、直接建設することは非常に困難なことから、民間活力の導入手法であるPPP(公民連携)・PFIの導入について今年度で検討を進めることにしている。

 また、新庁舎建設予定地のうち庁舎機能として活用しない土地は財源確保に用いるほか、現消防庁舎も耐震性に課題があるため、新庁舎建設に併せて建て替えを検討。さらに、現庁舎跡地の活用は今後の検討課題とするものの、民間事業者による敷地全体(現庁舎跡地、旧習志野高校跡地)の有効活用方策を実現することで、都市機能の発展と地域経済の活性化に結びつけることを基本とする。

 6月補正予算案にはこのほか、東日本大震災に伴う被災住宅地公民協働型復興検討事業費も盛り込んだ。学識経験者や地域の代表、行政で組織する検討会議を設置し、液状化の発生原因や現状地盤の把握、今後の地震発生時の被害予測、土木・建築等工学的観点からの都市基盤施設と個人住宅地等の再建策、現行の各種法制度を用いた復興手段等を検討し、復興案をまとめる。

 なお、補正予算案の主な内容は次の通り。(補正額・単位千円)

 《一般会計》

 【総務費】

 ▽まちづくり応援基金積立金=28,795▽新庁舎建設準備事業=5,150。①報償(117)②業務運営関係委託(5,000)他。

 【民生費】

 ▽東日本大震災被災者見舞金支給事業=50,500。

 【衛生費】

 ▽災害復旧事業(海浜霊園)=7,000。施設設備維持管理工事。

 【土木費】

 ▽被災住宅地公民協働型復興検討事業=11,371。①報償(849)②業務運営関係委託(10,016)他▽災害復旧事業(道路)=156,400。①設計委託(60,000)②施設設備改修工事(96,400)▽災害復旧事業(住宅)=20,000。①設計委託(5,000)②業務運営関係委託(5,000)③施設設備改修工事(10,000)。

 【消防費】

 ▽災害対応事業=26,336。①消耗品(3,836)②手数料(2,500)②業務運営関係委託(20,000)。

 【教育費】

 ▽災害復旧事業(小学校)=61,142。①修繕(7,295)②業務運営関係委託(2,000)③設計委託(11,000)④施設設備維持管理工事(40,547)他▽災害復旧事業(中学校)=①修繕(3,721)②業務運営関係委託(1,000)③施設設備維持管理工事(19,163)▽習志野文化ホール助成費=1,415。文化ホール運営費等補助金▽災害復旧事業(文化施設)=4,278。設計委託▽災害復旧事業(菊田公民館)=15,164。施設設備改修工事▽災害復旧事業(体育施設)=21,897。①施設設備維持管理工事(7,407)②施設設備改修工事(14,490)。

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