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茨城県水戸市

大手門などを復元/来年度から着工

2016/09/28 日本工業経済新聞(茨城版)

 水戸市歴史文化財課は、旧水戸城の大手門、二の丸角櫓、土塀を復元するため、実施設計を文化財建造物保存技術協会(東京都荒川区)へ委託して進めている。大手門と二の丸角櫓は在来工法、土塀はRC造で整備する。本年度はあわせて用地買収なども進めており、来年度から工事に着手して2019年の茨城国体までに完成させたい考え。概算事業費は約12億円。

 水戸城跡周辺は、弘道館など豊かな歴史的資源が現存し、中心市街地のにぎわいを創出する上でも重要な地区。第6次総合計画では、歴史的資源を生かしたにぎわいづくりを図るため、世界遺産登録や旧水戸城建造物の復元に向けた取り組みをはじめ、歴史・観光ロードの整備など回遊性を高める施策を推進するとしている。

 市では、14年に「弘道館・水戸城跡周辺地区の歴史まちづくり基本構想」をまとめ、天下の魁の精神を受け継ぐ歴史・文化交流拠点の形成に向けた主要施策として整備を位置付けた。翌15年には、「水戸城大手門、二の丸角櫓、土塀整備基本計画」を策定し、整備に係る諸課題を整理し、基本的な考え方や方針を取りまとめた。

 それらによると、「水戸の顔にふさわしい 天下の魁の精神を受け継ぐ歴史・文化交流拠点の形成」を基本理念に掲げ、多くの市民や観光客が弘道館・水戸城跡周辺地区を訪れ、その魅力を再発見できるよう歴史まちづくりに取り組むとしている。

 大手門の規模はW造2階建て延べ208・22㎡を想定。軒高8・8m、棟高12・66㎡。外壁は1階が木部現し、2階が土壁の上漆喰塗り。屋根は入母屋造、本瓦葺(土瓦)。開口部は1階が門と潜戸、2階が連子窓とする。

 水戸城跡への導入部として重要なランドマークとなるため、遺構を保護しながら復元整備を進めていく。現在は時間帯や重量などで通行を制限しているが、完成後は一部車両を除いて通行止めにするもよう。

 二の丸角櫓については、W造2階建て延べ95・02㎡で、軒高7・015m、棟高10・016㎡。外壁は1・2階とも土壁の上漆喰塗り。屋根は入母屋造、本瓦葺(土瓦)とする。開口部は1・2階とも格子窓および片引土戸。

 水戸駅北口ペデストリアンデッキから眺望できるランドマークとして水戸城跡の存在を気付かせる存在とする。10・11年度に実施した発掘調査で規模と位置が判明していることから、これに基づき復元整備を推進する。

 土塀はRC造で、延長508・5m(大手門北側60m、大手門~二の丸角櫓間264・5m、南側184m)。棟高は1・8m。外壁は上部が大壁漆喰仕上げ、下部が板張り。屋根は瓦葺。

 概算事業費の内訳は、大手門4億1000万円、二の丸角櫓2億8000万円、土塀2億3000万円(西側1億5000万円、南側8000万円)、アプローチ1億3000万円、用地測量等1億5000万円。市民との協働による寄付金や、集約促進景観・歴史的風致形成推進事業補助金などの国庫補助の確保にも努め、実質的な本市の負担軽減を図る。


 【図=大手門イメージ、二の丸角櫓・土塀イメージ、位置図】

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