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基幹博物館の設計プロポは久米・伊藤・乃村JV

2017/07/15 長野建設新聞

基幹博物館の整備で松本市は13日、設計者を決めるための第2回設計プロポーザル選考委員会(委員長=笹本正治長野県立歴史館長)を行い、最適候補者に久米設計・伊藤建築設計事務所・乃村工藝社による共同企業体を選考、同日に菅谷昭松本市長に報告した。最適候補者について笹本委員長は「松本城下町の街並みに一番マッチしている」と高く評価した。

選考委員会は最初に大手公民館で、資格審査を通過した応募者4者から提出された技術提案書について、それぞれ企業名を伏せたプレゼンテーションとヒアリングが20分ずつ公開で行われ、その後、市役所本庁舎に場所を移して審査と選考を行った。次点は梓設計・柳澤孝彦+TAK建築研究所・渡辺建築設計事務所・トータルメディア開発研究所の共同企業体だった。

選考報告を受けた菅谷市長は「それぞれ専門的な立場で公平に審査されたものと確信している。基幹博物館の建設が大きく一歩前進したと受け止めている。これから基本設計、実施設計へと進むが、新しい博物館の完成に向け皆さまの協力をお願いしたい」と述べた。

選考委員会後の記者会見で笹本委員長は、選考に至ったポイントとして「松本城下町の街並みに一番マッチしていた。共同企業体として建築とセットで考えた時に一番適合していた。これが全員の一致した意見。景観を壊さず、入口のところに余裕を持たせている点も適合している」と評価。高さ制限がある中、階数については「展示のゆとりを考えれば3階建てになる。今回の提案も3階建てだった」と明言。さらに「ある意味でシンプルな建物。もっとも長い期間、みなさまから愛される建物になっていくだろうと思った。個人的考えだが、博物館で一番大事なのは資料の収集・保管だと思っており、収蔵庫が一番大事だと思っている。今回、収蔵庫について一番しっかりしていたのが久米案だったと思っている。展示スペースは部屋が大きく区切られていて、もっとゆとりのあるスペースでオープン化していただきたいと付帯意見も付けた」と述べ、市民とともに歩む博物館とするため、今後も考えを提案していきたいとの考えを示した。

同博物館は、現在地の国史跡松本城の中から、南側の大手3丁目の市営松本城大手門駐車場北側敷地3868㎡に移転新築するもの。用地費、工事費等を含めた事業費は約100億円で、延べ床面積は7000~8000㎡規模。高さは地元協定により18m、階数は3階。1階は交流、2階は収蔵、3階は展示スペースとなる。本年度は基本設計、来年度に実施設計を行い、2019年度から2カ年で工事を進め、準備期間を経て21年度の開館を目指す。

会見する笹本委員長

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