県は、甲府市郊外に建設されるリニア駅の周辺と近郊を対象とする「リニア環境未来都市」の整備で、駅周辺にコンベンション機能などを有する交流施設や産業振興施設などの整備を検討し、駅周辺整備基本計画(仮称)の策定を目指す。また、駅近郊を含めた取り組みを推進するため、県や関係市町、有識者などで組織する「リニア環境未来都市創造会議」を設置する。
さらに、まちづくりの専門家である信時正人(のぶときまさと)氏を政策アドバイザーとして招き、指導や助言をしてもらう。信時氏はエックス都市研究所理事で、千葉県柏市の柏の葉アーバンデザインセンターの初代事務局長を務めた。現在は同センターアドバイザー。
これらの方針は、県議会全員協議会と後藤斎知事の会見(7月27日)で説明した。
後藤知事は会見で、リニア駅周辺の市町が都市計画マスタープランの改定作業に着手するなど、10年後のリニア開業に動きが始まっていることに触れ、「こうした取り組みと密接に連携を図りながら、駅周辺におけるコンベンション機能を有する交流施設、産業振興に資する施設などの整備を検討するとともに、駅近郊のまちづくりを積極的に推進する」と表明。
駅周辺については「世界に開かれた交流拠点」の形成を目指し、駅周辺整備基本計画(仮称)を策定していく。
県では、基本計画の策定に向けて駅周辺の機能を検討する調査業務を、このほど三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都)に委託した。同社は昨年度も同様の調査を行っている。
さらに、駅周辺と近郊の整備具体化へ「リニア環境未来都市創造会議」を設置し、関係機関だけでなく民間事業者から幅広くアイデアを募り、検討や取り組みを進めていく。駅近郊の先導的な事業については、開発事業者など民間主導の取り組みを展開していく。
さらに、後藤知事は会見で「リニア開業を、新たなライフスタイルの展開や産業・経済の持続的な発展、観光の進展につなげたい」と述べ、開業効果を最大限に活かし県内全域に波及させる考えをあらためて示した。
県が本年3月に策定したリニア環境未来都市整備方針では、駅周辺には、駅北側にパーク&ライド用駐車場や駅前広場を、駅南側には駅前広場や「観光交流・産業振興エリア」を整備する。北側と南側とを結ぶ南北自由通路も整備する。
駅から4㎞程度が対象の近郊には、リニア通勤者などの移住・定住、産業拠点、エネルギー、観光交流などの機能を配置する。建設を構想する総合球技場は小瀬スポーツ公園周辺に整備する。
「リニア環境未来都市」創造への取り組み
【駅周辺】
◆「世界に開かれた交流拠点」を形成
・コンベンション交流施設を検討
・産業振興に資する施設を検討
・「駅周辺整備基本計画」策定へ
【駅近郊】
◆定住、産業、景観、エネルギー、観光交流
・民間主導の先導的取り組みを展開
【県内全域】
◆リニア開業効果を全県的に波及させる
・交通ネットワークの整備
・リニア駅から30分アクセス圏域の拡大
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◆リニア環境未来都市創造会議(仮称)で検討