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村上市岩船沖洋上風力発電推進委員会

採算合わず事業中断へ

2017/12/01 新潟建設新聞

 村上の岩船沖洋上風力発電事業は、事業性評価の結果、資本コストが内部収益率(IRR)を上回り赤字となることから、事業の継続は困難との判断から中断する方針が示された。11月29日に開かれた村上市岩船沖洋上風力発電推進委員会(会長=高橋邦芳村上市長)で事業を計画するコンソーシアム(企業連合)を代表して日立造船の藤田氏が説明した。


 申し込み容量54MW(3・6MW×15基)で東北電力へ発電設備と送配電網に接続する工事(系統連系)を申請した結果、工事負担金90億円、工事期間9年とする回答があり、事業コストが確定。

 これを基に、洋上風力発電にかかる建設工事費、20年間の運営メンテナンス費、撤去費をメーカーや工事会社の見積もりから算出。売電量や売電収入(FIT買取価格36円/kWh)による採算計算の結果、IRRは3%以下となった。

 コンソーシアムは、この結果から現時点でのコストでは、投資は困難として、一旦事業を中止する判断を出した。ただし、建設コストが下がれば将来の事業化の可能性もあるとしている。

 これまでの風況観測、海底地質調査、系統連系検討などから当初の5MW44基から縮小し、モノパイル基礎による3MW風車15基の配置を対象海域の南側に計画。

 規模縮小により系統連系再検討が必要となったことから2016年11月に1年間の検討期間延長を決定。ことし1月に東北電力の募集プロセスに54MW(3・6MW×15基)で応募したが、容量オーバーのため、無効との回答があり、6月に改めて通常の接続検討を申請していた。

 事業性評価結果について高橋会長は「未来に向けての判断をした。積み上げたことは無駄にはならない。色々な知見を得たことで、一つの事例として活用することができる。改めて、できるのかも視野に入れ考えていきたい」と、関係者への感謝の言葉とともに、感想を述べた。


【写真=本年度2回目の会合を開いた】

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