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群馬県地すべり防止工事士会の2017年度技術講演会

2017/12/14 群馬建設新聞

NPO法人群馬県地すべり防止工事士会(青柳剛理事長)主催、群馬県建設技術センター(上原幸彦理事長)後援による2017年度技術講演会が12日、前橋市内の群馬県公社総合ビル多目的ホールで開催された。会員のほか県や、関連する企業や団体などから200人余が集まった。北九州豪雨など近年の豪雨災害の事例など、地すべりを取り巻く今を学んだ。

開会にあたり青柳理事長は、年末の多忙な中、大勢の出席者に感謝の言葉を述べるとともに「毎年全国各地で発生している豪雨災害などメカニズムを正しく理解し、地すべり対策の必要性を地道に幅広く問いかけていく必要がありそうです。今回の講演会を参考にして防災意識はもちろんのこと、地すべり対策の必要性の認識をなお一層深め、地すべり防止工事士会の存在を理解してもらえると思う」とあいさつした。

上原理事長は「最近は台風や豪雨が頻繁に、そして強く、集中して発生し大きな被害をもたらしている。一昨年の関東・東北豪雨や7月の九州北部豪雨により甚大な被害があったのは記憶に新しい。当センターでも頻発する自然災害の復旧についても職員を派遣し、積極的に支援を行っている。県民の命と暮らしを守るために防災・減災の一翼を担うセンターとしても今回の技術講演会は時機を得たもの」と期待を寄せた。

来賓には、金田一広県県土整備部砂防課長、石田博文県環境森林部森林保全課長(代理・中嶋薫次長)、斜面防災対策技術協会の上野雄一関東支部長が臨席。金田課長が代表して「県内では近年、大規模な地すべりは発生していないが、地すべりに関する土砂災害警戒区域は342カ所ある。地すべり防災対策が行われているのはうち2割程度で今後、気象状況の変化などによりいつ地すべり災害が発生してもおかしくない状況。地すべり対策工事には専門的な知識と豊富な経験が必要であり、皆さんの役割が今まで以上に重要になってくる。講演が技術向上に資することを期待する」とあいさつした。

講演は第1部を前橋気象台の須藤正成土砂災害気象官が防災気象情報について行った。典型的な雨台風と言われるカスリーン台風の被害と今、カスリーン台風が接近した場合の警報や土砂災害警戒情報の発表タイミングなどを説明。また、土砂災害の発生場所や避難すれば命を失うことはない災害だということなど解説し、土砂災害から命を守るためには、早め早めの避難の重要性を認識しようと締めくくった。

第2部は、山地防災研究所の櫻井正明氏が九州北部豪雨災害について講演した。線状降水帯による豪雨だったことから、降雨の状況といった情報を説明し、斜面被害の特徴を示した。流木の堆積などの被害状況はじめ各地の被害を写真を使って分かりやすく解説した。まとめとして、限られた予算の中で整備した施設の機能を維持しつつ必要な施設の充実を訴えるとともに、新たな課題を解決しながら効率的かつ適正な防災対策を進めるためには、優秀な人材が必要だとした。

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