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埼玉県地質調査業協会

越智会長インタビュー/「地域の安全に地元企業欠かせない」

2018/02/16 埼玉建設新聞

 地盤コンサルタント(ジオ・ドクター)の企業集団である埼玉県地質調査業協会(略称:埼地協)会長の越智勝行氏に、発注行政への要望や企業経営方針などについて聞いた。一般財団法人国土地盤情報センターの設立に関しては『責任の重み』、社業では『情報の共有』の重要性を述べ、「地元企業の存続が地域の安全に欠かせない」と団体の意義を強調した。

 埼地協は、地質調査の計画段階から施工・維持管理までの全プロセスに応じた業務を手掛ける企業が加盟する団体。人と構造物の快適な未来を築くことを目的に、建設工事に必要なさまざまな地盤データを提供することで、良好な生活環境づくりに貢献。天災から人々を守る社会的な役割を担っている。

 「日本は平野が少なく地震が多い。リスク回避の観点からより一層、地質調査に費用を計上して欲しい。首都直下型地震など大規模災害が発生した非常事態には、県内に本社を持つ18社が中心となり、我々が復旧作業などに貢献できる立場にある。緊急時のためにも、協会員が健全経営できるよう発注者にもご理解いただきたい。大手に資本力、技術力で劣るが、地元企業の衰退は地域を守ることにつながらない。発注者にも協会員、地元企業の育成・活用をお願いしたい」。

一般社団法人全国地質調査業協会連合会が、ことし4月に国土地盤情報センターを設立。大容量のデータベースを運用することが決まった。「将来的には、これまで地表のみの評価だった地価が、地下の情報を加味した本当の意味での地価価格になるかもしれない。それだけに大きなリスクも伴う」と、業界としての大きな役割とともに、情報を提供する立場の責任の重みを強調する。

 会社では『日本列島のお医者さん』を提唱。「社員には医者のイメージで、信頼関係を構築しようと言っている。医療現場では単純なミスが人の命を奪う。私たちの仕事も同じ。相手は地盤。間違いが建物を傾斜させ、人の生活に大きな支障を来す場面も想定しなければいけない。大きな責任を伴う仕事だと意識して、お客様と接することが大切。責任感のある仕事を繰り返すことによってリピーターになっていただく。必要とされる技術屋、会社になろうということが根底にある思い」と、社員を鼓舞する。

5つの意識改革を掲げ、100年企業を目指す。「問題に直面したときに漠然と難しいという感覚を持つ。情報を噛み砕いて、パーツに分解して組み替え、やりくり上手になることが大切。また会社にとって最も重要なのは情報共有。車の事故でも報告を受ければ、どの年代がどのような場所でぶつけるか、傾向を探り分析でき、社員全体の事故防止に役立つ。現場の1つのミスもその場で終わりにしたら会社の財産にならない。全てを会社の糧にしなければ」。

 おち・かつゆき。愛媛県西条市出身。61歳。さいたま市在住。昨年60周年を迎えた㈱東建ジオテック(さいたま市浦和区)代表取締役社長。

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