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【発注行政の在り方】大規模更新時代の建設市場創出を

2018/03/14 本社配信

 今後の発注行政の在り方を検討する国土交通省の有識者懇談会が12日に開かれ、中間とりまとめの内容を固めた。注目は今後の方向性として大規模維持更新時代に向けた建設市場の創出を打ち出した点で、工種の新設や等級の設置、実態に即した契約方式など発注者が取り組むべき課題を整理した。2018年度には維持管理に関する部会を新設して、具体的な検討に入る。

 大規模維持更新時代への対応では、現在の維持管理業務・工事における課題を整理し、実態を踏まえた適切な積算や入札・契約方式の改善を検討すべきとした。また、大規模構造物等の修繕工事に関する工種の新設や、「地域の守り手」である地域企業の市場を確保する必要がある工種における等級の設置など、必要な措置を順次導入できるよう早急な検討を求めた。

 さらに、現場条件の不確定要素が多く、当初契約時と施工時の数量の開きが大きい工事等では単価契約やコストプラスフィー契約など実態に即した適切な支払い方式の検討が必要であるとしたほか、一者応札が続く維持工事、設備の保守点検工事などでは地域の実情を踏まえて複数年契約や確認公募型の随意契約の適用拡大を提案している。

 地域建設業が適切に評価される入札・契約方式改善の関係でも、毎年一定の工事量が発注される維持修繕工事(堤防除草、道路除雪など)や小規模工事等で複数年契約や確認公募型の随意契約適用拡大に加えて、あらかじめ選定された建設業者の中から競争によって個別契約できる入札・契約方式(フレームワーク方式)も含めて事業協同組合や地域維持型JVの活用等の検討を求めた。

 公共事業の執行体制に関しては、国も地方自治体も職員数の減少が続いているため、発注体制の補完や技術職員が少ない自治体等の支援に向け、PM/CM方式・事業促進PPP制度、包括業務契約制度などの積極的導入を検討すべきとした。

 会合では委員から、中長期的な建設投資の見通しを、もう少し分かりやすく公表することが重要との指摘があった。

 なお、国交省では発注者責任や総合評価方式などに関する懇談会の検討体制を見直し、18年度から「企業・技術者評価」「積算・品質管理」「入札・契約制度」「測量・調査・設計」「維持管理」の5つの部会を設置して施策の具体化を図る考えだ。

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