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長野県,長野県測量設計業協会,(社)日本補償コンサルタント協会関東支部長野県部会,(社)建設コンサルタンツ協会関東支部長野県連絡協議会

4割弱がベア実施/失格基準引き上げ効果/地域を支える調査設計業検討会議

2018/03/16 長野建設新聞

 地域を支える調査・設計業検討会議の第30回全体会議が14日、県庁で開かれた。議事の中で業界側は、県が2016年度に実施した失格基準価格引き上げに関するフォローアップ調査の結果を報告。アンケート回答企業の4割弱が給与の引き上げを実施したことが伝えられた。県技術管理室の猿田吉秀室長は「賞与ではなく、よりハードルの高いベースアップで応えていただいたことはありがたい」と述べ、改定の目的であった給与等の就労環境改善につながったことを喜んだ。

 会議の冒頭、県建設部の長谷川朋弘建設技監は「県では4月から新たな総合5カ年計画がスタートする。施策の一つとして『産業の生産性が高い県づくり』を掲げており、建設業関連では生産性の向上や労働環境の改善といったことに全力を注いでいきたい」とあいさつ。

 県測量設計業協会の佐藤芳明会長は、繰越事業の活用などによる納期平準化の取り組みに謝意を表すとともに、担い手確保の一環として県が本年度に創設した優良技術者表彰若手部門について触れ、「受賞した若手に聞いたところ『表彰式では緊張したが、大変名誉なこと』と話していた。受賞者は皆、今まで以上に活躍してくれるものと確信している」と話し、新たな取り組みの効果を強調した。

 議事の中で業界側は、県が16年4月に失格基準価格の設定範囲を5%引き上げたことについて、どのような効果があったかなどを聞いたアンケート調査の結果を報告した。

 失格基準価格の引き上げ前に実施した調査では、利益が確保できた場合の使途について、「賞与・一時金等」とした企業が26%で最多だったが、今回の調査結果では、給与(賃金の引き上げ)が36.6%(30社)で最も多く、以下、「賞与・一時金等」18.3%(15社)、「設備投資」14.6%(12社)、「福利厚生」8.5%(7社)と続いた。

 給与の引き上げについては、失格基準価格引き上げ後、単純平均で2.7%、金額にして7700円の上昇。また、賞与・一時金等は、単純平均で約25%、金額にして約22万円の増となった。設備投資の内容は、測量機器や建築CADおよび関連機器の更新、福利厚生では社員増員による残業縮減、週休2日制の実施、資格取得支援などの回答があった。

 県の入札制度に対する問いでは、企業規模によるクラス分けや、地域貢献をより評価する制度の導入といった要望が寄せられ、くじ引き防止対策として昨年6月から試行している総合評価落札方式簡易Ⅱ型については賛否それぞれの意見があった。

 なお、調査は県測計設計業協会、建設コンサルタンツ協会関東支部長野地域委員会、日本補償コンサルタント協会関東支部長野県部会、県地質調査ボーリング業協会、県建築士事務所協会の5団体の会員を対象に、昨年12月~本年1月にかけて実施(複数の協会員を兼ねる者は1社としてカウント。県建築士事務所協会は県発注業務の応札者のみを抽出)。依頼企業数107社中、回答企業数82社で、回収率は76.6%。

 議事ではこの他、品質確保分科会による「品質に関するアンケート分析と品質向上のための方策」についても報告された。

 この中で、単純ミスに対しては詳細設計における「赤黄チェック」の徹底、技術力不足に関しては、より技術力を重視した総合評価落札方式の採用、現場調査不足に対しては受発注者の合同立ち会いや3者(ないし調査業務担当者を含めた4者)会議の強化、発注条件設定に対しては「発注条件明示チェックシート」の活用といった方策が提案された。

 なお、建設コンサルタンツ協会では、橋梁工事に関して設計時、施工への申し送り条件として交通規制、気象による施工条件、用地の課題、環境への配慮事項などをあらかじめ明記する「施工条件明示チェックシート」を作成。施工時の合同現地調査で再確認する取り組みを推進している。

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