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災害に強い県土つくる/ICT施工推進や発注時期平準化/伊藤敦史土木部長インタビューその2

2018/05/23 日本工業経済新聞(茨城版)

 大井川和彦知事のもと、前例にとらわれない発想で「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けてチャレンジを続ける茨城県。多発する自然災害に対する防災力の強化など、県民が安全安心に暮らすためには土木行政のさらなる推進が欠かせない。伊藤敦史氏は本年4月に土木部長に就任。新しい茨城づくりに向けた今後の展望や入札制度、県内建設業が抱える担い手確保の取り組みなどについて話を聞いた。


 ―就任しての抱負をお願いします

 大規模災害からの復興事業や公共施設の耐震化などの防災・減災対策を進め、災害に強い県土づくりを着実に推進するとともに、昨年12月に策定した「新しい茨城づくり」政策ビジョンに沿って「新しい」と「チャレンジ」をキーワードにしながら『活力があり、県民が日本一幸せな県』の実現に向け、社会インフラの整備や維持管理に全力を挙げて取り組む。

 これからの5年間、10年間を担う職員たちが新しいことにどんどんチャレンジし、土木行政を牽引していけるような環境をつくっていきたい。

 また日本一のサイクリング環境を目指して整備を進めている「つくば霞ヶ浦りんりんロード」や外国船も含めたクルーズ船誘致などの観光振興策、地方創生に寄与する施策なども積極的に行う。


 ―主要事業への取り組みについて

 東日本大震災や関東・東北豪雨からの復興については、今後も期間内の完了に向けて事業を加速させていく。緊急輸送道路の強化や橋梁耐震化、河川・海岸の堤防嵩上げ、防波堤・岸壁整備などを着実に推進する。

 高速道路などの広域交通ネットワークの整備ついては、圏央道県内区間の4車線化が2024年度までに進められる見通しとなった。市町村と連携しながら早期の整備を関係機関に働き掛けていく。

 東関道は2月に鉾田IC~茨城空港北IC区間が開通し、さらなる産業振興や地域の活性化が期待されている。未開通区間についても、1日も早く供用開始となるよう国の用地取得に全面的に協力していく。

 茨城空港と常磐道石岡小美玉スマートICを結ぶ道路は、県担当分の用地取得が終わったので本年が山場。国体やオリンピックを見据え、できるだけ早期の整備完了を目指す。

 骨格となる部分は仕上がりつつあるので、今後は高規格道路などバランスの取れた県土発展に向け、整備効果を考慮しながら将来を見据えた事業の検討を進めていく。

 本年度は昨年度に続けて県単公共事業費を増額した。G20貿易経済デジタル大臣会合をはじめ大型イベントが続くことから、道路の補修や沿道の草刈りなどを計画的に実施する。


 ―新たにチャレンジすることは

 自動車の位置情報、走行履歴などの車両走行情報を収集・蓄積した「交通ビッグデータ」の活用。これを使えば観光地へのアクセス道路の混雑発生箇所や、生活道路の交通危険箇所などを抽出することができる。道路の課題解決に向けたハード対策などの検討に当たり、こうした新しい技術を活用した取り組みに挑戦していく。

 具体的には、車両の速度状況の分析結果をもとに混雑箇所を抽出し、交差点改良やバイパス整備などのハード対策の参考にする。

 また、車両の急ブレーキ発生状況の分析結果を使い、交通危険箇所を抽出して路面標示やカラー舗装などを実施していきたい。


 【写真=インタビューに応じる伊藤土木部長】

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