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(社)埼玉県空調衛生設備協会

埼玉空衛協会が駅弁マイスターの三浦氏招き特別講話

2018/06/20 埼玉建設新聞

 埼玉県空調衛生設備協会(飯沼章会長)は15日、さいたま市中央区の県管工事会館3階大会議室で、深刻化する働き方改革をテーマに6月の月例会を開催するとともに、2018年度新人・若手のための技能者育成特別講話を実施した。講師はJR東日本グループのNRE(日本レストランエンタプライズ)で大宮営業所長として活躍した駅弁マイスターの三浦由紀江氏。タイトルは『仕事は楽しく!自分に限界をつくらない』~1年で駅弁売上を5000万円アップさせた奇跡のサービス~。三浦氏はポジティブな考えと行動で売り場の空気を一変させてきた経験から、職場での心の持ち方についてアドバイス。「ぜひ皆さんも上機嫌に、自分が仕事を楽しんでください」と終始明るく講話を展開。現場で培った生きた言葉が共感を呼んだ。

 月例会で飯沼会長は「当協会では会員企業の担い手不足を真剣に考えなければという危機感から先月の10日に県立中央高等技術専門校の空調システム科2年生20人を対象に業界セミナーを開催しました。就職を控えた生徒ですから、それなりに業界PRはできましたが、挙手で希望業種を問うと保守管理業務という生徒がほとんどで、現場管理、監督に就きたいという生徒は皆無でした。このように設備を専門にしていても我々の業界に入ろうという生徒がいないというのが現実です。今後は県内の高等学校や専門学校など教育機関に働き掛け、同様のセミナーを行うことで各会員企業への就職につなげていきたい」と状況の打開のため地道に努力を重ねる考えを述べた。

 講師として3人が招かれ、まず㈱グローバルソフトウェアの秋山聡第三システム部長が協会ホームページの会員向け情報の改善点として、新たに組み入れた技術者・資機材紹介などについて解説。当日配布した若手技術者育成のための品質管理ハンドブックについては発行元の東日本建設業保証㈱の横山昌司埼玉支店長が説明。県シニア活躍推進課の堀光美知子課長はシニアの活躍の場を広げる方策として70歳雇用推進助成金などについて話した。

 休憩後開かれた特別講話では再び飯沼会長があいさつに立ち「現在は官民こぞって将来の埼玉県の建設産業、ものづくりを支える人材の育成や確保に取り組んでいる状況です。会員の総力を結集し、業界の魅力を力強くアピールして若者の入職を促し、職業意識、使命感、自信を植え付け、この職に長く留まるような事業を展開しなければなりません。幸いなことに我々にはメーカー、商社など各分野の賛助会員がおられます。今回は社内外研修の企画実施で定評のあるLIXILのご協力により、マスコミでもたびたび登場している三浦様に講師をお願いしました。この年にふさわしい事業として自信を持って開催する講話です」と担い手づくりのヒントに有効に生かすよう助言した。

 三浦氏は23年間の専業主婦生活を経て、44歳の時にJR上野駅の駅弁販売でパートデビュー。大宮駅構内など7店舗を切り盛りするカリスマ営業所長として驚異的に売り上げを伸ばしたほか、限定駅弁を数多く生み出した経歴を持つ。

 この日は▽接客はすべての仕事の基本、最高の演技と演出で提案しよう▽クレーム、クレーマーから逃げない▽現場のスタッフのがんばれる訳は…共に開発、共に販売▽常識は常に疑う、一生懸命、一所懸命に続けることがキャリアになる▽コミュニケーションを大切に同僚、後輩を巻き込んで育て合う仕事を!▽楽しんでいる人には誰もかなわない―の内容に沿って話しが進められた。

 講話が始まると休憩も入れず三浦氏はよどみなく話を展開。「仕事を始めた時のドキドキ感は今でもあります。恐るおそる無口に話し掛けていました。必ずしも売ることだけを考えない。なぜなら出やすいお店は入りやすいお店だから。そして宣言したことは実現につながる。運というか必ず行動する人にはツキが来ます。駄目な人―と、人を排除し続けたら現場に人はいなくなる。うまくいかないときには愚痴を言っても構いませんが、多くの人に愚痴をこぼすと悪口になる。北風と太陽ではないですが太陽のマネジメントを心掛けてください」と独特な距離感と正直な解釈による売り場での接客を想像して、参加者はいつの間にか話に身をゆだね、あちらこちらで笑みが見られた。

 最後に三浦氏は「やった私ではなく、そのように仕向けた社長がすごいだけです。頑張ってきたことは必ず成果につながる。勇気を持って一歩を踏み出していただけるきっかけになれば幸いです」と結んだ。

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