記事

事業者
建設業労働災害防止協会千葉県支部

初年度に13次防達成を/労災防止で若者アピール/建災防千葉分会/第47回安全大会

2018/06/27 日刊建設タイムズ

 建設業労働災害防止協会千葉県支部千葉分会(伊藤靖雄分会長)の主催による「第47回安全大会」が15日、千葉市内の三井ガーデンホテル千葉で開かれ、会員300人余が参加。千葉労働基準監督署の堀内利夫署長らの来賓祝辞、年間無災害及び工事無災害などの各種表彰に加え、誰もが健康に安心して働くことが出来る職場環境づくりに邁進することを誓う「大会宣言」を採択。さらに、フリーアナウンサーの荒生暁子氏を講師に招き、「0災をめざして~伝達不全をなくす安全・安心の話し方~」をテーマに特別講演も行った。


 ◆災害撲滅へ300人余


 主催者を代表してあいさつした伊藤分会長は、この安全大会を機に「さらなる安全衛生活動を各事業所で繰り広げることで、第13次労働災害防止計画の目標である死亡災害15%減少を、スタートである本年に達成して頂きたい」と呼びかけた。また「魅力ある建設業」に向けては、「我々が活動を重視する労働災害防止こそが、とかく若い人たちに対する大きなアピールの一つになる」と力を込めた。

 一方で、自身の経験から「『急がば回れ』という言葉があるように、ゴルフのスコアや車の運転、現場の安全には共通する部分がある」と強調。日常生活においても「リスクアセスメントを常に意識して行動することを肝に銘じてほしい」と述べるとともに「この時期のみではなく、年間を通して、いつでも安全大会に臨んでいる気持ちで現場を進めて頂きたい」と会員に訴え、あいさつを結んだ。


 ◆死亡災害に歯止め休業災害の大幅減


 引き続き、千葉労基署の堀内署長は、管内における昨年の建設業労働災害発生状況について言及。「死亡災害は4件で一昨年に比べて2件増加。休業4日以上の災害は157件で、同じく31件、率で22・6%の大幅増となった」と報告し、4件の死亡災害のうちの3件が墜落・転落であることを厳しく指摘。建設業における死亡重大災害の撲滅を図るためには「この墜落・転落災害の防止を徹底することが、依然として大きな課題である」と強く訴えた。

 また、本年の管内建設業における死亡災害が3件発生していることについては「このうちの2件が墜落・転落災害である」と重ねて強調。「第13次防の初年度において、これ以上の死亡災害の発生は何としても避けたい。休業災害は昨年よりも大幅な減少を図りたいと考えているので、さらなる力添えを賜りたい」と要請した。

 さらに「今後は管内の建設工事量も増加すると考えられる中で、本日の安全大会が、建設業における労働災害防止をさらに進める大きな契機になる」との考えを示した堀内署長は、「管内の建設業における職場・現場が、労働災害のない快適な職場・現場となるよう祈念する」と述べ、祝辞に代えた。


 ◆労働者にやさしい職場環境の整備を


 建設業における就業者数は1997年がピークで、全国で685万人が就業していたが、その後は減少傾向の一途をたどり、2011年には473万人と、ピーク時に比べて3割減少した。その後、東日本大震災などの震災復旧や景気対策方針などにより就業者数は増加に転じたものの、現在は人手不足が常態化し、今後も2020年の東京五輪関連工事などの建設需要の増加から、さらなる人手不足が考えられる。

 これらの中で、作業員の高齢化と熟練労働者の不足が進み、建設現場では今、未熟練労働者や高齢労働者の労働災害発生と危険性が増していると考えられる。今後、建設業における労働災害防止をさらに進めていくためには、未熟練労働者に対する十分な安全衛生教育の実施、現場に潜む危険要因の見極めなど、熟練労働者の育成と高齢労働者にもやさしい職場環境の整備が求められていると思う。(堀内・千葉労基署長の祝辞から)


 ◆激励の意味と深く胸に刻む


 各種無災害表彰では、受賞者を代表して㈱竹中工務店の熊谷秩也氏が「我々建設業に携わる者の一員として、災害ゼロを目標に研鑽を積んできたが、未だみなさんの期待に添えるまでには至っていない。この栄えある受賞は千葉分会員として『なお一層、労働災害防止に取り組むように』との激励の意味で頂くものと深く胸に刻み、本年度の全国安全週間のスローガンである『新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災』を合言葉に、今後もますます安全管理活動に邁進する覚悟である」と述べ、謝辞とした。


 大会宣言と安全表彰/建災防千葉分会第47回安全大会


 大会宣言

 私たち会員一同は、すべての労働災害を撲滅するため、日々安全管理に取り組んでいる。昨年は残念ながら、労働災害が目標値を上回ってしまった。本年も現在のところ、死亡災害が2件発生しており、休業4日以上災害は増加傾向となっている。

 第13次労働災害防止計画の初年度でもあり、また、建設業は墜落・転落災害が多いことで、重点対策の業種でもある。

 目指すべきは「死亡災害ゼロ」である。全国安全週間を前に「人命尊重」という崇高な基本理念の下、引き続き安全衛生活動をさらに積極的に実施し、労働災害撲滅へのさらなる取り組みを行っていく。

 本大会を契機とし、会員事業場だけでなく、下請け業者や一人親方まで、作業を行う一人ひとりに対して、このような現状を共有し、本年度の安全週間スローガンである『新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災』のもとに、安全意識の高揚と安全活動の定着を図り、誰もが健康に、安心して働くことができる快適な職場環境づくりに邁進することを、ここに誓う。


   2018年6月15日

     建設業労働災害防止協会

      千葉県支部千葉分会

       第47回安全大会


 2018年度安全大会表彰

 事業場賞

 【年間無災害賞】

 ○千年杉建設㈱

 【工事無災害賞】

 ○明正工業㈱=南部浄化センター返流水管改築工事(その3)

 ○㈱笹原工務店=(仮称)風の子保育園新築工事

 ○新日本建設㈱=(仮称)オーベル幕張本郷新築工事

 ○新日本建設㈱=(仮称)プレミスト本千葉新築工事


 個人賞

 ○成岡泰行(新総建設㈱)

 ○浅田智之(㈱昭永電設)

 ○川嶋 悟(㈱昇和産業)

 ○沼畑昌司(若築建設㈱)

 ○中塚 聡(芝工業㈱)

 ○中野洋史(東鉄工業㈱)

 ○熊谷秩也(㈱竹中工務店)

記事資料 記事資料 記事資料 記事資料 記事資料 記事資料 記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら