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建設業労働災害防止協会千葉県支部

新たな視点と創意工夫/ゼロ災へ惜しまぬ努力/建災防京葉分会が説明会/第91回全国安全週間準備期間

2018/06/29 日刊建設タイムズ

 建設業労働災害防止協会千葉県支部京葉分会(石神信夫分会長)は14日、市川市内の京葉建設会館において「2018年度全国安全週間実施要領説明会」を開き、会員50人余が出席した。船橋労働基準監督署の松崎勉署長からのあいさつをはじめ、石井孝雄・安全衛生課長による「全国安全週間実施要綱説明及び労働災害の発生状況等」、県習志野保健所の監物かおり・主任保健師による「たばこの害をしっていますか」~受動喫煙のない社会を!~の説明。また、大塚製薬㈱ニュートラシューティカルズ事業部の高井利夫・営業開発担当課長を講師に迎え、「知って防ごう熱中症!」~働く人のための熱中症対策セミナー~をテーマとする特別講演で構成した。


 ◆7月1日からの本週間へ


 全国安全週間は「人命尊重」を基本理念として1928年から実施され、一度も中断することなく今回で91回目を数える。本年度のスローガンは『新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災』。6月1日から30日までを準備期間とし、7月1日から7日までを本週間として展開する。

 説明会に先立ち、主催者を代表して京葉分会の中川修・副分会長は、「建設業における死亡者数は、全体的には減少傾向にあるが、残念なことに昨年、当船橋労働基準監督署管内では、3人の尊い命が失われた」と沈痛な面持ちで報告。「建設技能者の高齢化や団塊世代の大量退職によるノウハウ喪失下で、新規入職者や若手見習い工等の増加が予想されるなど、建設業に従事する方々の安全と健康を取り巻く環境は、年々厳しさを増しつつある」との危機感をあらわにした。


 ◆死亡ゼロ災の達成


 一方、その中での京葉分会の役割としては「一段と地域社会に貢献する機会が増える中で、会員全体が『死亡事故ゼロ、無事故無災害』を祈念するとともに、一致協力してさらなる安全を目標に事業を行い、その責任を果たすことが肝要である」と表明。本年はこれまで、管内建設業で死亡災害ゼロを継続していることについて「このままゼロ災を達成してほしい」と訴えかけた。

 会員に対しては、7月1日からの安全週間を契機に「日頃から実施している安全施行サイクル等の安全衛生活動の再徹底を図るとともに、死亡災害の中で高い割合を占める『墜落・転落災害』『建設機械・クレーン等災害』『倒壊・崩壊災害』の三大災害の撲滅に重点を置き、災害防止対策の積極的な取り組みをお願いする」と要請。さらに、熱中症の予防についても「各社の実情に即した実施計画を策定し、トップの強力なリーダーシップのもとに、関係者が一丸となり、労働災害の防止に万全を期してほしい」と呼びかけ、あいさつとした。


 ◆休業災害が大幅減/視点を変える効果


 船橋労働基準監督署の松崎勉署長は、2013年から17年の5年間を期間とした第12次労働防災計画と、同じく08年から12年の第11次労働防災計画について言及。「船橋労基署管内では、12次防の5年間に全業種で死亡災害が50件、休業4日以上災害が7026件発生。その前の11次防による5年間では、死亡災害が51件、休業4日以上災害が7322件あった」とし「11次防と12次防を比較すると、休業災害で300件減少した」と報告。

 千葉県全体で11次防と12次防を比較すると「休業災害の減少は150件に留まっていることに加え、(休業災害が)増えている監督署が多いことからも、当船橋署管内の貢献度は高く、みなさんの労災防止活動の成果は評価に値すると思う」と強調した。

 今年から第13次労働災害防止計画がスタートし、7月1日からの全国安全週間のスローガンは『新たな視点でみつめる職場 創意と工夫で安全管理 惜しまぬ努力で築くゼロ災』。以前から「私は毎年、安全週間を迎えるにあたり、安全スローガンの中からキーワードを見つけ、それにこだわって、その年の安全週間を考えている」と述べる松崎署長は、今年の安全スローガンの中の「新たな視点」と「創意と工夫」について言及。

 このうち「新たな視点」では、とある絵を何枚か掲げて「一見すると、この絵は左を向くアヒルのようだが、少し視点をずらすと右向きのウサギにも見える。もう1枚はキツネに見えるが、回転させるとアシカに見える」と紹介。「見方によって見えてくるものが変わってくる。思いがけない効果が出ると捉えて頂ければと思う」と解説した。

 さらに、最後のフレーズにある『惜しまぬ努力で築くゼロ災』を引用し「今後ともゼロ災を目指して、有意義な全国安全週間を迎えて頂きたい」と呼びかけ、あいさつに代えた。

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