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くじ引き減少傾向見られず/項目選択に偏りも/舗装の総合評価簡易Ⅱ型

2018/08/04 長野建設新聞

 県建設部は、同額入札によるくじ引きでの決定を抑止するため今年1月から試行している「舗装工事における総合評価落札方式(簡易Ⅱ型)」の実施状況(3月31日現在)をまとめた。開札済み件数26件のうち、57.7%に当たる15件がくじ引きで決定。試行後3カ月間の動向では、顕著な抑止効果は見られない。

 県発注の舗装工事では近年、失格基準価上限値付近での同額入札が多数となり、その結果、くじ引き決定が多発。受注希望型競争入札におけるくじ引き発生率は2014、15年度が53%、16年度は64%に達した。一方、総合評価落札方式を適用した案件の発生率は3~5%で推移しており、従来、受注希望型としていた案件にも総合評価を活用し、価格以外の要素を加味することで、くじ引き決定の抑制を図ることを決めた。

 簡易Ⅱ型では、必須項目である「工事成績」に加え、①施工体制②地域要件③社会貢献④技術者配置―の4項目から選択した2項目の合計3項目を価格以外の評価項目とし、各項目2点、合計6点を配点する。価格点は94点。

 開札済み26件の平均応札者数は9.8者で、平均落札率は92.6%。くじ引き決定となった15件のくじ引き対象者数は平均6.3者だった。ちなみに、17年度に受注希望型で発注した舗装工事の件数は125件で、このうち59.2%に当たる74件がくじ引き決定。くじ引き対象者数は平均9.6者だった。

 また、価格以外の評価項目の選択に偏りがあることも判明した。採用状況をみると「技術者配置(主任技術者を専任配置)」が最も多く27件。「地域要件(本店等所在地)」も21件で用いられた。一方「施工体制(直営施工)」は4件、「社会貢献(小規模補修工事当番登録または小規模維持補修工事契約)」は3件、「社会貢献(道路除融雪契約実績)」は2件、「技術者配置(主任技術者に40歳未満の技術者を配置)」が1件にとどまり、「施工体制(アスファルトフィニッシャーを自社保有)」と「地域要件(対象工事の近隣での工事実績)」の2項目は採用がなかった。

 7月27日の地域を支える建設業検討会議で県建設業協会は「抑止効果が薄いのでは」と指摘。県は、選択項目の偏りについても言及した上で、「今後の動向を注視する」と述べるにとどめた。

 なお、簡易Ⅱ型の実施方針として、地域条件などを考慮しつつ、受注希望型で予定されている舗装工事(3000万円未満)のうち半数程度を試行するとしており、16年度の発注実績で試算した場合、適用件数は80件程度となる。

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