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労連「指値発注」根絶を/県計画原案で議論/建設職人基本法

2018/08/22 長野建設新聞

 県、県建設業協会、県建設労働組合連合会などで構成する県建設工事従事者安全健康確保推進会議は10日に第2回会合を開催し、事務局が提示した「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」(建設職人基本法)に基づく長野県計画の原案について議論した。労連は、元請が指定の価格で下請に受注するよう強いる「指値発注」の問題を提起。「標準見積書の活用による法定福利費の適切な確保を業界全体で徹底しなければいけない」と強調し、国土交通省関東地方整備局からも「適正な代金がしっかりと下請まで流れるかが重要。社会保険対策に関し、立入検査という文言を入れ込むことができれば、より強いメッセージになるのではないか」との意見が出た。

 今回提示された原案は、まず建設工事従事者の安全・健康に関する現状と課題として、労災発生状況のほか、技能労働者の労働賃金が設計労務単価に対して85.1%にとどまること(2015年度県発注工事の調査)や週休2日制の導入状況(17年度)が46.3%と全産業平均64.9%に比べ低いこと、55歳以上の就業者の割合(15年度)が39.5%と全国平均に比べ3.2ポイント高いことなどを記載。その上で県が総合的かつ計画的に講ずべき施策を示した。

 このうち「請負契約における経費の適切な積算等」に関しては、県が最新の労務単価等を反映した予定価格の設定や週休2日を前提とした適正な工期設定、厚生労働省長野労働局が安全衛生経費確保に関する周知を行う。

 「現場における措置の統一的な実施」では、県が施工プロセスのチェックリストによる現場確認、長野労働局が一人親方等の労災保険特別加入制度への加入促進、労連が参加組合員を対象とした労災調査を実施する。

 「現場の安全性の点検および安全などに配慮した設計、工法等」では、県が工事成績評定における安全衛生管理に関する評価やICT活用工事の推進・技術普及、長野労働局が危険の見える化推進運動や安全パトロールを実施する。

 「従事者の処遇の改善および地位の向上を図るための施策」では、県が建設工事の1次下請を社会保険加入業者に限定し、また適正な労働賃金の支払いを総合入札制度で評価する。労働局は過重労働防止対策の推進や適正な労務管理の実施にかかる指導、県建産連は毎月第2土曜日を休日とする「プレミアムサタデー」の取り組みを推進する。

 次回の会合は10月ごろを予定。本年度内の県計画策定に向け、今回の意見を踏まえた修正原案について、さらに議論を深めていく。

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