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長野県,(社)長野県建設業協会,長野県測量設計業協会

普通高校へもアプローチ/入職後の将来 見える化が必要/担い手対策地域連携ネットワーク会議

2018/09/01 長野建設新聞

 建設産業を担う人材の確保・育成について産学官が連携して協議する「長野県建設産業担い手確保・育成地域連携ネットワーク会議」の第2回会合が8月30日に県庁で開かれ、事務局が示した「長野県就業促進・働き方改革推進方針(産業分野別編)」の骨子案について意見を交わした。同案では、人材確保に関して小中学生や保護者向けの出前講座・見学会の開催、普通高校の教員・生徒と建設業界がつながる機会の確保、育成面では週休2日制促進のため公共工事において週休2日が確保できる工期の設定や増加経費の適正な計上、研修制度の拡充や優良技術者表彰制度等の運用改善などを掲げた。

 県はことし4月、県経営者協会など経済4団体や連合長野などと「長野県就業促進・働き方改革戦略会議」を発足しており、本会議は戦略会議の産業分野別会議という位置付け。構成団体は建設業振興基金、県建設業協会、県測量設計業協会、県高校校長会工業部会、長野労働局、長野職業能力開発促進センター、県建設部の7者。

 意見交換では「人材確保には子どもの頃からの意識付けが大切。建設業を身近に感じてもらう取り組みとともに、建設業界へ進むにはこんな高校に入り、こんな大学・専門学校へ進めばいいといったナビゲーションをしてあげられれば」「建設産業への入職には保護者の理解が必要。何年後にはこうした資格が取れ、何年後には職長になって、といった入職後の将来像を示せれば保護者も安心するだろうし、離職率の抑制にもつながる」「普通高校へのアプローチについては、大半が県外へ進学する高校もあれば、県内の進路先が多い高校もある。数が多いので、傾向を踏まえて取り組むのが効果的では」「高校生の求人活動開始は7月からだが、それでは遅い。日頃からの学校訪問で情報交換し、良好な関係を築くことが大切。また、2~3月、7~8月は教員が繁忙期で学校訪問には不向きな時期」などの意見が出された。

 このほか県建設業協会は、高校生を対象とした2級土木・建築施工管理技士試験準備講習会について、次年度以降も継続して開催する意向を示した上で、費用面の支援を要望。県測量設計業協会は「工科短期大学校に建設系の学科を設置できれば、地元企業への就職はもちろん、在職者が働きながら資格を取得することもできる」と求めた。

 新たな取り組みに関しては、県建設業協会が建設系高校との意見交換会を予定。「実習や見学会を実施しているところだが、改めてどのような支援が生徒に取って役立つのかを議論したい」と意図を説明した。

 長野労働局は求職者を対象とした業界単位による事業所訪問・現地説明会の取り組みを紹介。「建設業はやりがいのある仕事。見学会に参加した者ほど印象がポジティブになっている」とし、現在ハローワーク松本で先行実施している取り組みを各ハローワークで展開していく意向を示した。

 就業促進・働き方改革推進方針は10月23日の戦略会議で決定する予定。産業分野別編は今会合での意見を踏まえ修正した上で提示される。

 また今会合では、会議構成団体が行っている担い手の確保・育成に関する既存の支援策を取りまとめ分類整理した資料も示された。「潜在労働力の労働参加促進」「大学生のUターン」「労働者の能力開発」など9つの項目に分け、支援事業の内容や条件などを記載。本会議の成果の一つとして活用していく。

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