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国土交通省関東地方整備局(建設),国土交通省北陸地方整備局(建設),国土交通省中部地方整備局(建設),長野県,(社)長野県建設業協会

公契連モデルの設定範囲撤廃を/週休2日やi-Conの経費増も/意見交換①

2018/09/07 長野建設新聞

 県建設業協会と国土交通省関東・北陸・中部の3地方整備局、長野県の意見交換会が5日、長野市のホテルメルパルク長野で開かれた。協会は中央公契連モデルにおける「予定価格の0.7~0.9」の条文の撤廃や週休2日の実施に伴う必要経費の計上と適正な工期設定、i-Constructionを推進するための受注者の負担軽減策などを求めた。

 会合には協会から木下修会長をはじめ副会長、支部長など、国交省からは3地整の局長や現地機関長、県からは長谷川朋弘建設部長などが出席。冒頭のあいさつで関東地整の石原康弘局長は、建設産業の環境改善に向けた取り組みを紹介した上で「今後、働き方改革や生産性向上をさらに加速化させるためのさまざまな工夫・改善について受発注者で協力・協働してまいりたい。本日は忌憚のない意見をいただき、有意義な会としたい」と期待。県の長谷川建設部長は、頻発する災害に触れ「地域の安全・安心を守り、インフラ整備の一番の担い手である建設業界が健全に発展するよう、努力を絶やしてはいけない。県としても協会の協力をいただきながら就労促進事業や担い手育成事業を推進するとともに、ICT活用工事や施工時期の平準化、週休2日の全面導入等に積極的に取り組んでまいりたい」と述べた。

 協会の木下会長は「地域の守り手として地域住民の安全・安心を確保していくためには、技術と経営に優れた健全な建設業者の存在が不可欠。企業の経営基盤強化のためにも、国・県ともに公共事業予算の安定的・持続的な確保と補正予算編成、施工時期の平準化を」と要望。また、働き方改革への取り組み、完全週休2日制の実現は担い手確保のため避けては通れないとの認識を示した上で「生産性の向上なくしては実現できないが、小規模工事を施工することが多い地方中小企業にとって、i-Conにより利益を上げる仕組みがまだつかめていない。これができれば建設業にも週休2日が定着すると考える」と述べ、「若者が希望を抱き建設業に入職できるよう、また技術者・技能者を育成し、納税の義務を果たし、地域の守り手として会員企業が発展していけるよう、忌憚のない意見交換をさせていただきたい」と結んだ。

 意見交換では協会が5つの議題を提案。このうち中央公契連モデルの改正については「予定価格の0.7~0.9という条文が足かせとなり、落札率の上昇が抑えられている。2016年度の長野県の競争入札平均落札率は92.6%で、隣接8県の平均に比べ1.3ポイント下回っている。市町村では公契連モデルをそのまま最低制限価格としているところも多く、小規模な工事でも落札率が抑えられてしまう」などとし撤廃を要望。地整側は「低入札価格調査の基準は落札率と工事成績との関係についての調査実績なども踏まえて、適宜見直すこととしている。基準価格の見直しについては引き続き検討し、予定価格の算定については引き続き実態に即した価格設定に努める」とした上で、「条文の撤廃に関しては財務省との協議が必要となる。要望は本省関係部局へ伝える」と述べるにとどめた。

 週休2日の実施に伴う必要経費の計上については「協会の試算では発注ベースで平均7.7%の増額が必要。国の補正係数とは大幅な開きがある」と改善を要望。これに対し地整側は「補正係数は週休2日を取得している工事と全体(平均4週5休程度)との経費の差を反映したもの。労務費については17年度労務費調査において週休2日を取得している工事の労務単価と全体とを比較したところ5%程度の差があり、これを反映したもの」と説明し理解を求めた。

(意見交換②へ)

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