記事

事業者
千葉県県土整備部

道路網整備で県内活性/河川・港湾事業にも注力/河南正幸県土整備部長就任インタビュー

2018/09/10 日刊建設タイムズ

 県県土整備部は道路・港湾・河川など、県民生活や地域活性に直結する社会基盤の整備を担っている。7月13日に県土整備部長に就任した河南正幸氏は、県内の重要施設や魅力を生かすため、道路ネットワークの整備が不可欠と話す。具体的には、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)や国道464号北千葉道路に加え、各地にアクセスするための県道の整備を推進する必要があるとの見解を示した。さらに、堤防整備、千葉港港湾計画改訂・早期運用、老朽化対策・長寿命化に力を入れる構え。「発注者も建設業界の一員」との思いから、建設企業とともに基盤整備に取り組みたいと考えている。


 ―千葉県の印象はいかがですか。

 河南 県内で仕事をするのは初めてで、就任後、各地を巡っています。

 小学生のころに学んだ京葉工業地域の印象が強く残っており、東京を支えるだけでなく、東京とともに関東、そして日本を盛り上げているように感じます。成田国際空港や港湾などの重要施設も多く、さまざまな可能性を有しています。

 県南部に目を向ければ、おいしい食材や風光明媚な場所があり、レジャーを含めて楽しみの多い地域です。

 しかしながら、人・物の流れを生じさせるための道路ネットワークが十分に整備されていなければ、魅力を有効に活用することができません。安心・安全を高める取り組みを含め、安定した基盤を作り上げ、維持していくことが求められています。

 ―主要な道路事業をお聞かせください。

 河南 首都圏の広域的な幹線道路網を形成する圏央道の整備が進められていますが、千葉県区間については成田市の大栄ジャンクションから山武市の松尾横芝インターチェンジまで、約18・5kmが未開通となっています。2024年度の開通を確実に達成できるようお願いするとともに、われわれも地元市町に協力をいただきながら、用地確保に取り組んでいきます。

 また、成田国際空港を生かすためには、北千葉道路の整備が不可欠です。市川市の東京外かく環状道路(外環道)から船橋市の国道16号まで約15kmの県施行区間については、都市計画やアセスメントに関する手続きに取り掛かっています。国や高速道路会社に早期に引き継げるよう、円滑な進捗を図ります。

 これらの幹線道路は県内だけでなく、東京や国にとっても大きな効果をもたらしますが、人・物が各地に行き着くための県道整備も併せて進めなければなりません。

 ―災害に強い社会資本の整備についてお伺いします。

 河南 全国で多発している災害を見てもわかるように、人命を守るためには被災地に物資などを行き渡らせることが重要です。道路施設に関しては、地震による被害を最小限に抑え、早期に通行を確保できるよう耐震補強に力を入れています。

 ―港湾・河川事業などについてお聞かせください。

 河南 東日本大震災による甚大な被害を受けて、海岸や河川における堤防整備の迅速かつ着実な進捗が求められています。地元の方々に安心していただけるよう、津波・高潮・河川増水などの対策を目に見える形で進めていくことが大切だと考えています。

 そのほか、千葉港港湾計画の改訂作業を行っています。新たな計画の早期運用を目指し、滞りない策定を目指しています。

 ―老朽化対策・長寿命化についてお伺いします。

 河南 全てのインフラ施設について検討する必要があり、それぞれの計画に沿って点検、補修等、メンテナンスからなる基本のサイクルを確実に回していくことが必要です。

 ―予算確保の方針はいかがですか。

 河南 まずは、18年度予算をしっかりと執行します。19年度予算については、事業の進捗状況を勘案したうえで、集中投資を考えながら編成する方針です。

 18年度予算のポイントは、道路予算における90億円近い増額だと思います。県民の大きな期待を感じており、19年度以降も十分に対応していきたいと考えています。


業界の一員として基盤整備


 ―県内の建設企業へコメントをお願いします。

 河南 われわれ発注者も建設業界の一員だと思っており、県民の生活・活動が守られるよう、ともに基盤整備に取り組んでいきたいと考えています。

 また、災害時には地元の建設企業に真っ先に駆け付けていただいています。就任後に何度か台風が接近しましたが、すぐに対応していただきました。そういった意味でも、業界の衰退に対して危機感を持たなければなりません。

 われわれとしても、担い手の確保や、若者が入職したいと思える環境づくりを支えていかなければなりません。

 ―建設業界が抱えている諸課題に対する考えをお聞かせください。

 河南 生産年齢人口が減少しており、これまでと同じことをするためには効率を高めるほかありません。ICTの活用などにより、効率化に取り組む必要があります。

 また、多くの業界で週休2日が普通になっている中で、その流れに乗らなければ働きづらい業種だと思われてしまうかもしれません。建設業界においても、働き方改革が求められています。

 しかし、こうした取り組みには皆さんの理解が必要です。業界のこれからを見据えて、協力していただければ幸いです。

 ―休日はどのように過ごされていますか。

 河南 車の運転が好きなので、時間が取れれば、趣味と実益を兼ねて愛車のレガシーワゴンで県内を走ろうと考えています。

【略歴】 かんなん・まさゆき

 1967年3月23日、兵庫県出身。1991年3月、名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。同年4月、建設省(現・国土交通省)入省。外務省在トルコ共和国日本国大使館二等書記官、国交省関東地方整備局相武国道事務所長、静岡県沼津市副市長、国交省中部地方整備局道路部長などを経て、7月13日から現職。

記事資料 記事資料

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら