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来年度から低入札価格調査/専任配置や第三者照査義務付け/工事委託

2018/09/14 長野建設新聞

 県は2019年度から建設工事に係る委託業務で低入札価格調査を実施する。基準となる価格(低入札価格調査基準価格)は受注希望型競争入札の場合、予定価格の87.5%相当額。総合評価落札方式では予定価格の87.5~90%の範囲で変動制とし、失格基準価格は調査基準価格よりも2.5%低い価格に設定する。調査基準価格未満の落札候補者には調査書類の提出、技術者の専任配置、第三者による照査を求める。

 方針は11日開かれた本年度第2回県契約審議会で審議、了承された。現行制度では調査基準価格を変動制の失格基準価格(予定価格の85~90%の範囲)と同額にし、これを下回った者は調査を省略し失格としている。昨年9月に総務省および国土交通省から総合評価方式のダンピング対策について「価格による失格基準を調査基準価格と同額に設定することは最低制限価格制度の適用と同義であることから行わないこととし、発注者の調査能力などに応じて、負担軽減に配慮しつつ、適切な幅を設けること」との通知があったことから、これに対応した形に改める。

 対象は総合評価を含む受注希望型の建設工事に係る委託業務(予定価格50万円~WTO適用基準未満)。19年4月の公告案件から適用する。総合評価落札方式では、今回の見直しが入札動向に大きな影響を与えないよう、調査基準価格未満の価格点はマイナス補正を行う。

 調査基準価格未満で落札候補者となった者には、通知日の翌日から起算して2日以内に調査書類(①その価格により入札した理由書②積算内訳書③当該契約の履行体制④手持建設関連業務の状況⑤配置予定技術者名簿⑥手持機械等の状況⑦同種または類似の業務受注・履行実績)の提出を求め、業務完了時にも同様の調査書類を提出してもらう。さらに管理(主任)技術者の専任配置(他の委託業務で、いかなる技術者としても従事しないこと)と第三者による照査も義務付ける。第三者照査を行う者は県の入札参加資格を有し、落札候補者と資本・人的な関係がなく、過去に落札候補者から第三者照査を依頼されたことがないことなどが条件となる。

 調査の結果、契約内容に適合した履行が不可能と判断された場合は落札候補者取り消しや入札参加制限を行う。また、書類不提出や虚偽説明があった場合、契約前であれば落札候補者取り消しや入札参加停止、完了時であれば入札参加停止や業務成績点の減点を行う。落札候補者の辞退は可能だが、年3回以上の辞退で入札参加制限を行う。

 なお、委託業務に先立ち建設工事では本年4月から低入札価格調査を実施。7月末現在、17件(全体の4.58%)で調査を行っており、16件は候補者が落札、1件は候補者が辞退している。

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