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標準見積書活用は道半ば/試行継続し浸透図る/適正賃金を評価する総合評価実施状況

2018/09/19 長野建設新聞

 県建設部技術管理室は11日に開かれた県契約審議会で「建設工事における適正な労働賃金の支払を評価する総合評価落札方式」の実施状況を報告した。2016年度の試行開始から本年8月末までに落札決定した70件のうち67件(95.7%)は試行内容誓約者が受注している。このうち工事が竣工し、関係書類提出済みの26件を見ると、発注者が指定した特定工種(以下「指定工種」)の労務費見積額がおおむね設計労務費と同額であることが確認された。一方、標準見積書の活用は下請者全体の59.4%にとどまっており、県は引き続き試行を継続し、標準見積書の活用の浸透に取り組んでいく。

 同方式は、労働賃金の底上げにより建設労働者の確保・育成を図ることを目的とし、◆下請次数の制限(土木は2次下請、建築は3次下請まで)◆指定工種の労務費見積総額が設計労務費の87.5%以上◆発注者が労働賃金の支払実態調査を行う際に、支払書類を提示し調査に協力―の3事項について誓約した者に価格以外の評価点で0.5点を加点する。

 本年8月末までの集計によると、落札決定した70件の応札者数は延べ514者で、このうち試行内容誓約者は473者(92.0%)だった。試行内容誓約者が落札した件数は67件(95.7%)となっている。

 70件のうち、工事が竣工し関係書類の提出まで終えた26件(16年度分17件、17年度分9件)の状況を見ると、下請契約次数については25件が制限内で、制限を超えた1件は、契約後に発生した災害への対応に人員を割かなければならないという不測の事態によるものだった。

 下請契約・支払いの状況を見ると、指定工種の下請者数は延べ53者で、このうち46者(86.8%)については標準見積書の活用が確認され、また26件全て労務費見積総額が設計労務費の87.5%以上だった。

 ただし、指定工種を含む全ての下請契約で見ると、下請者数延べ212者のうち、標準見積書の活用が確認されたのは126者(59.4%)にとどまった。

 審議会の議論では「指定工種に関しては下請企業に対し適正な支払いが行われているようだが、これが技能者にまで行き届いているのか」と、さらに踏み込んだ意見も出た。県は引き続き試行を継続し、標準見積書の活用の浸透に取り組むとともに、適正な労働賃金の支払いを推進していく。

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