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参加者全員対象の抜打ち審査/要件満たさぬ応札を防止/来年度から

2018/11/16 長野建設新聞

 県は建設工事および建設工事に係る委託業務の入札で、入札参加者全員を対象とした資格要件の抜き打ち審査を実施する。近年、落札候補者が要件を満たさず取り消しとなる事案が増加していることを受けた措置。対象は発注機関が案件内容を踏まえ選定するが、実績要件を設けたものが重点的に抽出されるもよう。適用は2019年4月の公告案件から。

 この方針は13日に開かれた県契約審議会で報告された。現在、受注希望型競争入札では、開札後に落札候補者のみ資格要件の審査を行っている。昨年度以降、審査の結果、落札候補者が要件を満たさないことが判明し、候補者の取り消しを行う事案が増加している。16年度は工事と業務合わせて4件だったが、17年度は10件に増加。18年度は10月末時点で10件発生している。

 要件を満たさない者が入札参加することは、落札候補者の取り消しや、候補者の再審査といった事務手続きに時間を要するとともに、適正な競争を損ねる恐れがあることから、これを抑制するため入札参加者全員を対象とした抜き打ち審査の実施を決めた。

 実施案件は、その旨を公告文に記載。発注機関は事前審査項目の確認のほか、①有効な経審(建設工事の場合)②業種登録要件(委託業務の場合)③同種工事・同種業務実績④配置技術者の資格―について書類の提出を求め、審査を行う。要件を満たさない者が確認された場合は、理由などのヒアリングを実施し、警告する。2年以内に再度警告を受けた場合は入札参加制限が課せられる。

 審議会の議論で藏谷伸一委員(県建設業協会顧問)は「同種実績の捉え方に相違があるケースが考えられる。同種実績の解釈をマニュアルなどで示す必要があるのではないか」と発言。これに対し県は「抜き打ち審査を行う中で、必要があれば検討してまいりたい」と応じた。また、別の委員からは「抜き打ち審査というのは受・発注者双方にとって気持ちの良いものではない。受注者側との意見交換など、機会を捉えて要件の解釈を説明することが必要」との意見も出た。

 県は「入札参加者には公告文をよく読んでほしい。抜き打ち審査の実施案件を公告文に記載することで、そうしたことにつながっていけばとの思いもある」と話した。

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