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中間前払金 普及率7割突破/一律4割ほぼ浸透、限度額撤廃も進む

2018/11/17 長野建設新聞

 県内市町村で、建設企業の資金調達円滑化につながる「中間前払金制度」を導入する動きが広がっている。本年度に入り9町村が新たに導入を決定。直近では8月から小海町と小布施町が運用を開始した。これにより導入市町村数は54市町村となり、全市町村に占める割合は70.1%となった。

 中間前払金は、当初の前払金に加え、工期2分の1を経過し、かつ出来高が5割を超えていることを条件に、さらに2割を前払いする制度。手続きが簡易であることが大きな特徴。部分払いは出来高検査が必要であるのに対し、中間前払金は書類審査のみ。認定手続きの際に提出するのは「認定請求申請書」と「工事履行報告書」だけでよい(発注者により別途書類を規定する場合もある)。

 施工資金の前払いにより、発注者は適正な施工が確保でき、受注者は資金を円滑に調達できる。さらに受発注者とも、部分払いに比べて出来高検査などに伴う事務手続きの負担が軽減される。

 改正品確法において導入の促進が明記されたことを契機に全国的に普及が加速。県内では本年度、新たに9町村で制度を利用できるようになり、普及率は7割を突破した。

 また、前払金の割合を「一律4割」とする取り組みはほぼ全県下に浸透した。10月から松川村が一律4割の実施とともに、適用金額を従前の300万円以上から130万円以上に拡大。これにより一律4割としていないのは泰阜村(2億円以下は3割、2億円超は2割)のみとなった。

 さらに前払金支払限度額を撤廃する自治体も増えている。本年度に入り8市村が制度を改正。最近では9月に飯山市、10月に小諸市が撤廃を決めた。これにより全体の80.5%に当たる62市町村で支払限度額の制限がなくなった。なお、県内19市のうち限度額を設定しているのは東御市、諏訪市、飯田市、大町市、千曲市の5市となった。

 前払金、中間前払金とも、建設業者の資金調達円滑化につながる有効な制度であり、各市町村において適切な運用、活用が図られることが望まれる。

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