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要緊急措置 新たに21橋/市町村から財政支援求める声/県道路メンテ会議①

2018/12/15 長野建設新聞

 県内の道路管理者で組織する長野県道路メンテナンス会議(会長=塩谷正広国土交通省長野国道事務所長)の本年度第2回会合が13日、長野市生涯学習センターで開かれた。議事では道路施設の定期点検の実施状況や自治体支援の取り組みなどについて情報を共有。市町村からは点検結果を踏まえた修繕に対する財政支援を求める意見が挙がった。2017年度の点検結果も報告され、緊急に措置を講じなければいけない「区分Ⅳ」と判定された橋梁が市町村管理で21橋あったことも明らかになった。

 同会議は、急速に老朽化する道路施設を効果的かつ効率的に維持管理していくため、14年5月に県内の全ての道路管理者が参画して設立された。

 冒頭、副会長を務める県建設部の中田英郎道路管理課長は「限られた予算の中で既存の社会資本の長寿命化を図らなければならない。将来のコスト縮減に向けた予防保全型のメンテナンスサイクルを着実に実行していくことが必要。皆さんから忌憚のない意見をいただきながら、協力と連携により県内の道路管理の質の向上を図りたい」と述べた。

 議事では5年に1度の法定点検の実施状況などについて情報を共有。本年度は5カ年計画の最終年度で、全ての道路管理者が管理施設の点検実施率100%を達成する見込みであることが報告された。県は今年9月に公学民6者で設立した「信州橋梁メンテナンス支援協議会」の取り組みを紹介。市町村に対する支援体制の強化を目的に、橋梁点検の独自資格「橋梁MAE(メンテナンス・アシスタント・エンジニア)」を創設し、来年度から資格者の養成を開始することを伝えた。

 質疑では飯山市が「定期点検が一巡し、今後修繕費用の増加が予想される。修繕に対する補助率のかさ上げなど財政負担の軽減をお願いしたい」と要望。これに対し、長野国道事務所の豊村秀樹道路構造保全官は、既存の補助制度を紹介するとともに「防災・安全交付金についてはインフラの長寿命化計画を踏まえた修繕に重点配分している。補助率については法律で定められており、ここで回答はできないが、地方公共団体から同様の声が挙がっていることは聞いている。意見は関東地方整備局を通じて上部機関に伝える。また、財政支援のほか技術面での支援も考えていきたい」と回答した。

 会議では17年度に実施した点検結果も報告された。橋梁は6536橋で点検を行い、この結果、健全を示すⅠが1718橋、予防保全段階のⅡが3770橋、早期措置段階のⅢが1027橋、Ⅳが21橋となった。Ⅳ判定は、いずれも市町村管理。山間奥地にある通行量の少ない橋梁で、住民生活に支障が及ぶ状況にはないという。現在はいずれも全面通行止めとしている。

 トンネルは155本で点検を実施。判定結果はⅠが1本、Ⅱが80本、Ⅲが73本、Ⅳが1本。Ⅳ判定は県道路公社が管理する平井寺トンネルで、覆工コンクリートの浮きが確認されたため、18年度早々に剥落防止対策を実施済み。

 道路附属物等(大型カルバート、横断歩道橋など)は311施設で点検を行い、判定結果はⅠが40施設、Ⅱが180施設、Ⅲが91施設、Ⅳはなかった。

 自治体支援の取り組みの一つである「地域一括発注」の状況も示された。本年度は伊那市、千曲市、富士見町、松川町、飯綱町、山ノ内町、軽井沢町、箕輪町、根羽村の2市6町1村が採用。合計140橋の点検が同方式で発注された。受託先は県建設技術センター、上伊那広域連合、下伊那郡土木技術センター組合の3機関。

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