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(社)埼玉建築設計監理協会

埼玉設監協が用途変更の実例学ぶ/焦点はコストと構造

2019/03/06 埼玉建設新聞

 埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は2月28日、会員や地方自治体関係者らに参加を呼び掛け『コンバージョン(用途変更)の実例とこれから~学校や住宅の空き建築の複合化活用~』と題する勉強会を建産連研修センターで開催した。国は空き家対策など既存ストック活用に向けて段階的に建築基準法を緩和しており、同協会でもこの流れに沿った運営が求められている。この日はコストと設計業務での構造の問題が焦点となった。

 開催にあたり田中会長は「今までの右肩上がりの経済環境から1つの転機を迎え、新しい社会の開発の仕方についての物差し、考え方を持つことが必要になってきています。今日はそのようなことを踏まえながら皆さま方と一緒にコンバージョンについて考え知恵を絞り、価値ある場にしたいと期待しています」とあいさつ。

 同協会では国土交通省が目指す都市集約形成の実現に向け、少子高齢化時代における都市問題に取り組んでおり、これまでに2回の見学会を実施。今回は既存建物を利用した用途変更をテーマに実例を紹介。課題と今後の可能性を探った。

 紹介されたのは三郷市が小学校を市民センターに転用したケースと社会福祉法人が店舗・住宅を障がい者複合施設に利用した2例。

 まず三郷市の倉持和弘建設部理事兼副部長が瑞沼市民センターについて説明。同施設は市民への貸し出しを目的とした体育館、講座室などのほか、就労支援や包括支援事業、子育て関連施設などに使われおり、東日本大震災の受け入れ先にも活用された。

 行政のスリム化による学校の統廃合から設立までの経緯が報告され、問題点として、行政側には施設の維持管理を含めた有効活用など、設計者側には建築確認の際における構造チェックとして安全性の確保が挙げられた。

 引き続き社会福祉法人ともに福祉会の矢口幸一理事長が検査済証のない建物の安全性確認を行い、発達支援センターとグループホームに転用した概要を紹介した。

 当初新築で計画したものの、土地の調整がつかず断念。既存建物利用に方針を転換。現地調査の結果、工事設計図と不整合な箇所もあったが、金物など不適合箇所を是正して完成させた。

 また、さいたま住宅検査センターの青柳利之理事と佐藤一信事業管理課長が建築基準法の改正による用途変更の関連法規について、制限の緩和措置や容積率規制など合理化が図られた点を中心に解説。

 最近の主な改正として採光(非常用照明)、階段、排煙、防火上必要な間仕切り――などについて規制の概要を確認した。

 終了後は第2部としてパネルディスカッションが行われ、活発に意見が飛び交った。

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