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長野県建設部

早期対策へ概算数量発注活用/法面工事や河床整備など

2019/03/15 長野建設新聞

 県建設部は「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」で実施する道路法面の災害防除工事と河川内の樹木・堆積土除去工事について、概算数量による発注を活用し、早期の対策・効果発現を図る。

 道路法面工事については、既存の測量・設計成果がなく、発注段階で工事実施数量を正確に把握できない工事箇所のうち、①既設吹付工・法枠工の補修②裸地法面への吹付工、吹付法枠工(新設)③落石防護網工(撤去再設置)④その他、構造計算を要しない法面保護工―のいずれかの工法により対策を行う場合は、概算数量発注を活用する。このうち既設吹付工・法枠工の補修は「吹付背面の空洞処理(裏込め注入工)」「補強(吹付工(上吹補修)、吹付枠工)」「既設吹付の撤去(はつり工)と吹付工、吹付枠工」「既設法枠工の撤去(はつり工)とモルタル・コンクリート補修」といった工法を想定している。

 概算数量発注では、平面図は道路台帳平面図などを利用。標準横断図で吹付工の厚みや材料を明示する。展開図により施工面積の概算数量根拠を示し、これに基づき設計額を算出、発注する。

 受注者は当初設計に示された測量・調査を実施し、発注者へ提出。発注者は成果に基づき、必要な設計内容を決定し、あらためて受注者に指示する。受注者が行う測量・調査費は当初設計で計上する。

 一方、河川内の樹木・堆積土除去工事については、既存の測量・設計成果がなく、発注段階で正確な数量を把握できない場合に概算数量発注を活用する。

 概算数量は、2500分の1都市計画図や住宅地図、航空写真などの平面図と、簡易な手法により作成した標準横断図により算出。仮設工図は概算数量の根拠が分かる程度の図面を添付する。

 既存の測量・設計成果がないことから、当初設計の準備工として縦横断測量や既存施設の根入れの確認のための試掘などの必要経費を計上する。

 受注者は準備工に計上された測量・調査を実施し、発注者に提出。発注者は成果を基に掘削範囲、掘削深さ等を決定し、受注者に指示。これに基づき工事の設計変更を行う。仮設工は、施工計画受領時に確認し、必要に応じて設計変更する(指定仮設扱い)。

 工事は原則として施工者希望型の「ICT活用工事」で発注。河川課では、準備工として実施する測量も3次元測量を積極的に活用したい考え。

 概算数量発注では、受注者が測量・調査を外注するケースも多い。3月11日に開かれた地域を支える建設業検討会議で木下修会長は「コンサル企業も大変忙しいと聞く。受注後に測量・調査を受けてくれる会社がいないといった事態が心配される。発注ロットや施工条件なども含めて、柔軟な対応をお願いしたい」と要望。

 また、13日の地域を支える調査・設計業検討会議では、業界側から発注時期の平準化とともに、分離発注が可能なものは分離するよう求める意見も出た。佐藤芳明会長は外部発注時の適正価格の確保についても質し、県は「県が発注する測量と同様の歩掛、内容、精度を求め、必要な経費はしっかりと計上する。適正な賃金の支払いは業界も求めていることであり、われわれも業界に対し求めていきたい」と述べた。

 なお、建設部所管の3カ年緊急対策予算は初年度となる2018年度分として2月補正予算で230億8300万円、19年度分として当初予算で297億1300万円が計上されている。このうち河川事業には2月補正で39億65000万円、当初予算で37億4800万円、道路事業には2月補正で153億2500万円、当初予算で159億9200万円を配分している。

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