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否定的な意見はなし/適正な入札 外郭団体等へも働き掛けを/工事の失格基準引き上げ

2019/06/08 長野建設新聞

 本年度第1回目の県契約審議会が6日に長野市の長野合同庁舎で開かれ、建設工事(予定価格100万円~WTO適用基準未満)における失格基準価格の設定範囲を2%引き上げ、「予定価格の89.5~94.5%の変動制」とする県の改定案が了承された。審議の中で委員から否定的な発言はなく、外郭団体等でも県同様に適正な入札が行われるよう求める意見が出た。改定内容の適用は8月1日以降の公告案件から。

 今回の改定に当たっては、新たな中央公契連モデルとの整合を図るとともに、建設産業を取り巻く環境を考慮した。

 国土交通省はことし3月、低入札価格調査基準の設定範囲を10年ぶりに改定し、従来の「70~90%」から「75~92%」に改め4月から運用を開始。併せて地方公共団体に対して、算定方法の改定などにより低入札調査基準等を適切に見直すよう要請した。これを受けて県は失格基準価格の見直しに着手し、今回、改定案を審議会に諮り、了承された。

 上限値の94.5%に設定に当たっては、中央公契連モデルの計算式に「労働賃金の適正な水準の確保」と「企業の適正な利潤の確保」の要素を加味。具体的には「直接工事費×1+共通仮設費×0.9+現場管理費×0.9+一般管理費×0.75」の計算式に、複数のサンプルを当てはめ算定した。一方、下限値の計算式は、最新の中央公契連モデル(直接工事費×0.97+共通仮設費×0.9+現場管理費×0.9+一般管理費×0.75)に準拠。従来どおり上限値から5%低い設定とした。

 改定案に対して委員から否定的な意見はなく、藏谷伸一委員は「落札率がどの程度上がるかは分からないが、ようやく全国平均に近づくのではないか」と述べた。また、他の委員からは「県は見直しの効果の一つとして企業の適切な利潤の確保による適正な労働賃金の支払いと、担い手の確保・育成を上げている。この点について、改定後の動向をしっかりと検証してほしい」「県が県有施設の管理を移管している団体では、失格基準価格が設定されず過度な安値受注が発生している事例もある。県の持ち物に関しては県の制度に沿って適正な入札が行われることを切望する」との意見も出た。

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