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栃木県高根沢町

高根沢町土づくりセンター、9月補正予算案に調査費、建て替え方針を決定

2019/08/03 日本工業経済新聞(栃木版)

 高根沢町は、町土づくりセンター(平田1515-1)を建て替える方針を決定した。簡易的な施設に更新し、維持管理運営コストの大幅な削減を図る。一般会計9月補正予算案に調査費を計上し、コンサルタントに業務を委託する。施設利用者の合意が得られた場合、2020年度当初予算案に建設費を計上する。総工費は3億6000万円を見込んでいる。

 業務内容は施設の適正規模や構造、設計・施工、維持管理、運営方式、利用者負担金全般の検討。現施設は昨年5月、堆肥発酵槽の屋根崩落により全面稼働休止に追い込まれている。現在は2次災害防止のため、堆肥発酵槽のS造屋根とテントの解体撤去工事中。

 堆肥製造をオートメーション化している現施設は、多数の設備機器を配備。2000年の稼働開始以来、支出累計額は9億8233万8000円。これに対し収入累計額は1億8389万1000円にとどまり、累計では7億9844万7000円の赤字。

 このうち修繕費は過去19年間で4億1453万9000円を支出。加えて設備機器は一斉に耐用年数を超過し、維持管理運営コストは増大する一方。収支状況を改善する打開策が見当たらない中、町は簡易的な施設への建て替えと廃止の両面で議論を重ねてきた。

 昨年3月の町議会では土づくりセンターの存続陳情が採択され、町は循環型社会構築の継続を確認。しかしながら町財政を圧迫している状況は看過できないため、同様の8施設を比較検討。「真岡市リサイクルセンター」方式が町に適していると判断した。

 真岡市の施設は、通気ブロワーとホイルローダのみで堆肥を製造。付帯施設が最小限で済み、シンプルな施設を実現。10槽をホイルローダが行き来し、発酵槽をカーテンで仕切って脱臭。通気ブロアが常時エアレーションし、堆肥を発酵させている。

 真岡市の施設は今年4月、稼働を開始。敷地面積1万1817平方m、建屋は建築面積1817・19平方m。剪定枝を原料に日量4・6㌧、年間1032㌧の堆肥を生産できる。処理費は無料、処理方式は超高音好気性発酵処理。運営は指定管理者で、常駐者は3人。

 町土づくりセンターは敷地面積9805平方m。S造一部2階建て建築面積2846・6平方m。家畜牛糞尿、家庭生ごみ、もみ殻を原料に日量24㌧、年間7200㌧の処理能力。高速堆肥化方式。管理運営はJA塩野谷に委託。有機質肥料は町内で限定販売。

 1998年に国の環境保全型畜産確立対策事業、地域有機性廃棄物再生施設整備事業、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策事業を導入。総事業費7億5835万円を投じ、99年に完成にこぎ着けた。科学肥料依存型農業から脱却し、安全な農産物の生産が目標。

 来年2月には町議会に課題を整理した内容を提示し、今後の土づくりセンターの最終的な方向性を協議する。建設費のほか、ホイルローダ購入費が1705万円。真岡市施設の建設費を参考に、既存施設で利活用できる設備を除いた金額で試算した。

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