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週休2日 希望率2割に満たず/800万円未満では9.3%/18年度工事

2019/08/21 長野建設新聞

 県は2018年度から原則全ての建設工事で週休2日に必要な工期をあらかじめ設定するとともに、達成した場合に経費の増額補正を行っているが、18年度に契約した対象工事1723件のうち受注者が週休2日を希望した件数は332件で、全体の19.3%にとどまったことが分かった。少子高齢化に伴う産業間の人材獲得競争が激化する中、週休2日は避けて通れないとの見方が一般的だが、県発注工事ですら導入が進んでいない実態が浮き彫りになった。

 18年度の施工者希望型週休2日工事の実施状況は8日に開かれた地域を支える建設業検討会議で示された。18年度に建設、林務、農政、環境の各部が公告した工事を対象に、受注者が週休2日を希望したか否かを金額別、業種別で集計した。

 金額別の状況を見ると、当初設計額が800万円以上の工事では希望率が20%を超えたのに対し、800万円未満の工事は9.3%と極端に低かった。金額区分が最上位の8000万円以上は29.7%、3000万円以上8000万円未満は22.5%で、金額が大きくなるほど希望率が高くなる傾向が見られた。

 業種別では、件数の最も多い土木一式が849件中134件で希望率は15.8%。とび・土工・コンクリートは391件中85件で21.7%。ほ装は208件中70件で33.7%となり、全11業種中最も希望率が高かった。鋼構造物は契約した7件全て実施希望はなし。建築一式は41件中4件で、希望率は9.8%にとどまった。

 検討会議で協会側からは、実施希望率が2割に満たなかったことについて受注者側の消極的な姿勢に反省の弁が聞かれた一方、より取り組みやすくするための制度改善の必要性を指摘する意見もあった。

 県は取り組みをさらに推進するため、19年度から週休2日の達成率が75%(4週6休相当)以上であれば工事実施後、達成度に応じて3段階の補正係数を乗じて契約変更するよう運用を改正。さらに上半期中には、週休2日に取り組むことを指定して工事を発注し、当初設計で達成率100%以上の場合の補正係数を乗じて必要経費を計上する「施工者希望型週休2日工事」の導入を予定している。

 また、週休2日工事に取り組んだ場合は履行実績証明書を発行。20年度には「週休2日工事の実績を有する技術者を評価する総合評価落札方式」の導入を予定しており、初年度については19年度の履行実績証明書に基づき評価を行う考えも示している。

 ちなみに19・20年度建設工事入札参加資格者の新客観点数の加点状況を見ると、週休2日制の加点事業者数は、全体の39.9%に当たる943社。内訳は4週8休相当が125社(全体の5.3%)、4週6休相当が615社(同26.0%)、4週5休相当が203社(同8.6%)。前回17・18年度との比較で、全体に占める割合は4週8休相当が1.3ポイント増、4週6休相当が3.6ポイント増、4週5休相当が増減なしとなっている。

 民間工事における週休2日の導入は、さらに難しさがあると言われる。広く一般に理解を得られるよう、まずは公共工事において週休2日を確保しつつ適正な利潤があげられる体制・仕組みを構築し、週休2日が当たり前の環境をつくり上げることが必要だろう。

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