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栃木市、被災した民間建物解体を支援、4月から順次入札、自費解体分を市が負担

2020/01/25 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は、台風19号で被災した民間所有の半壊以上の家屋解体支援制度を創設した。1月補正予算に事業費22億7343万9000円を計上。公費解体のほか、所有者が自費解体した費用を基準額の範囲で市が負担する。公費解体は4月以降に市が解体工事の入札を執行し、市内業者に発注する。個人住宅解体を優先し、申請受け付け順に解体する。事業所やアパート解体工事は個人住宅解体後に開始する。

 被災家屋は個人財産であり、これまで所有者責任で解体撤去処分を済ませなければならなかった。台風19号の甚大な被害に鑑み、国は本来の機能が失われた家屋を災害廃棄物に認定。全壊家屋のみの処理事業費の補助範囲を半壊以上に拡大した。

 国は自治体主導の家屋解体を支援し、生活環境保全、家屋倒壊による2次災害の防止、被災者の生活再建を後押しする。市は国の特例措置に呼応し、公費解体費15億1270万1000円、自費解体費用償還金7億6073万8000円を配分した。

 市は民間所有の家屋解体撤去処分手続きを代行する。罹災証明で全壊、大規模半壊、半壊の判定を受けた個人家屋または事業所建物が対象。対象者には制度案内と申請書を発送する。災害廃棄物処理を所管する環境課窓口に公費解体特別班を設置し、対応に当たる。

 申請は2月3日~3月31日まで受け付ける。民間事業者の資本金(従業員数)要件は製造業3億円以下(300人以下)、卸売業1億円以下(100人以下)、サービス業5000万円以下(100人以下)、小売業5000万円以下(50人以下)が対象。

 工事内用は建屋地上部分、建物基礎(3階建て以上の戸建て住宅、2階建て以上で高さ10m以下の事務所)。解体後は簡易に整地する(客土搬入はなし)。所有者は解体前までに水道、ガス、電力、電話の閉栓手続き、家財や機器類の搬出、近隣住民への工事周知が必要。

 一方、家屋自費解体費用償還は3月31日以前に契約を済ませた案件が対象。公費解体制度開始前に自主解体した場合、不公平が生じないよう救済する。市に解体前~解体中~解体後の写真を提出、市が申請内容を審査し、所定の償還金を振り込むのが流れ。

 1棟当たりの延べ床面積約130平方mと想定し、償還額は約410万円を上限とする。業者への支払金額が上限を上回る場合、原則自己負担となる。基準額は解体建物の延べ床面積に市が定める構造別単価を乗じて算定する。基準額は非公表。

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