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福井コンピュータがVRコラボデモ

2020/02/26 長野建設新聞

建設業向けにCADソフトウェアを開発・販売している福井コンピュータは、同社のVR(バーチャルリアリティ=仮想現実)システム「TREND-CORE VR」を利用し、工事発注者と受注者が離れた遠隔地から同じVR空間に入り、帯工出来形計測などを行うコラボレーションデモ試験を伊那市で行い、実際に作業できることを長野県内では初めて確認した。同社では、この技術を活用することで、災害発生規模の安全かつ迅速な確認や生産性向上による働き方改革にも寄与できるものとして、今回の試験結果や受発注者の意見を聞きながら製品化を目指す考えだ。

同社のシステムは、インターネットを利用してVR体験を一人だけではなく複数人が同時に行うもの。今回の試験は「天竜川水系黒川渓流保全工事」を対象に、発注者の国土交通省天竜川上流河川事務所三峰川砂防出張所と、工事を受注したヤマウラの協力を得て行われた。現場は工事期間中に台風19号など大雨被害に襲われて現場状況が変わる中、3次元データ化したVR内に、伊那市高遠町にある同出張所では発注者職員が、また現場事務所ではヤマウラの社員が「ヘッドマウントディスプレイ」を装着し、インターネットに接続したVR機器により同じVR空間に入り、帯工の出来形計測や3次元設計データの確認を行った。離れた場所でも同じ現場の3次元データ内で、お互いの状況を確認しながら現場で生じている問題点の共有や解決へ向け、現場に赴くことなく速やかに確認できたことを確認した。体験した同出張所の北村保所長は「思ったよりも臨場感があり、認識しやすかった」と感想を語った。ヤマウラの竹折雄太さんは「受注者の作業を発注者にすぐ確認していただける」とメリットを語った。

今回の現場を含め、法面工事や堰堤等での高所、橋梁の支間長の計測は、現地でも実測が困難。3次元点群データがあれば、不可視部の確認も可能となるほか、災害発生箇所をドローンで撮影して計測することで、災害規模をスピーディかつ安全に把握し、早期復旧につなげることも可能。

VRによる「体感」と関係者による「共有」で、地域住民への説明や社員教育など様々な利用シーンが見込めるという。同社は、生産性向上をはじめ、働き方改革につながる技術として、「受注者、発注者様の動向を見ながら、製品化をめざしたい」と語った。

問い合わせは同社(0570-039-291)まで。

福井コンピュータがコラボデモ

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