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農林水産省関東農政局

関東農政局かんがい排水事業、右岸幹線など実施設計へ、20~28年度、総事業費55億、鬼怒川南部、小山

2020/04/09 日本工業経済新聞(栃木版)

 農林水産省関東農政局は、国営かんがい排水事業鬼怒川南部地区に着手する。茨城県内の船玉揚水機場(筑西市)や延長3・5㎞の幹線水路などを改修する計画で、県内は小山市と真岡市の水路を改修する。総事業費は55億円、事業期間は2020~28年度を予定。今年度は1億5000万円を措置し、21年度に計画する工事個所の調査測量設計を推進。小山市の右岸幹線水路などの実施設計を予定している。21年度以降も調査測量設計を行いながら事業を進めていく方針。

 地区は小山市、真岡市、古河市、結城市、下妻市、常総市、筑西市、坂東市、八千代町の水田を中心とした農業地帯。受益面積8805ha(茨城県7120ha、栃木県1685ha)、受益者数9804人。

 基幹水利施設の勝瓜頭首工、延長約88㎞の幹線水路、船玉揚水機場と川岸揚水機場(結城市)などは1965年度から75年度の国営鬼怒川南部土地改良事業で造成された。

 船玉揚水機場は揚水機が突発的に停止することがあり、幹線水路は一部に鉄筋の露出や浮き上がりが発生。壁や底面が傾くなど劣化している。

 主要工事計画は揚水機場2カ所の改修に28億7000万円、幹線用水路の改修に26億3000万円。

 船玉揚水機場は、能力が低下したポンプ設備のほか、ひび割れや剥離などが見られる建屋を更新。電気設備も改修し、連絡管水路を補修する。川岸揚水機場も連絡管水路を補修する予定。

 幹線用水路は勝瓜頭首工からの導水幹線、左岸幹線、大道泉サイホンで分岐する右岸幹線、小貝川付近の黒子幹線が対象。いずれも開水路で各区間の中で洗掘や損傷が著しい個所を補修または更新。腐食が進んだ各幹線のゲート設備も更新する考え。

 県内は小山市の右岸幹線や真岡市の導水幹線などの改修を計画。20年度は小山市を含む個所の実施設計を行う方針。21年度以降も地区内の施工個所の調査や実施設計を順次行いながら工事を進めていく。

 事業は国営施設応急対策で、施設の機能を保全する整備を実施。農業用水の安定供給、施設の長寿命化と維持管理費用、労力の軽減を図り、農業生産性や農業経営を安定させる。勝瓜頭首工は09~12年度の国営造成土地改良施設整備事業でゲート設備や護床工などの改修を終えている。

 16年4月に関係市町と鬼怒川南部土地改良区連合で構成する鬼怒川南部地区国営施設応急対策事業推進協議会を設立。19年3月の協議会で20年度事業着工要求について承認するとともに、現管理者の関係市町と鬼怒川土地改良区連合が維持管理を継続することで合意した。事業計画書作成業務は若鈴コンサルタンツ(名古屋市)が担当した。

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