十日町市は、使用済み紙おむつ燃料化実証事業を開始する。運営・熱利用事業者の社会福祉法人十日町福祉会と10日、事業契約を締結。2025年度までに市内の総電力消費量の30%を再生可能エネルギーで賄う施策の一翼を担う。
同事業は公立保育園や十日町福祉会から回収した使用済み紙おむつを十日町市エコクリーンセンターに搬入。180℃のごみ焼却熱風による乾燥、滅菌を施した後、市が施設内に新設する紙おむつ燃料化装置に投入し、地元の製材所から提供を受ける、おが粉を混合。長さ2cmほどのペレットに加工し、同福祉会が運営するケアセンター三好園しんざ内で給湯熱源として利用する。
契約では運営事業者が使用済み紙おむつの回収、ペレット燃料の製造、ボイラー等の通常メンテナンス、焼却熱回収のモニタリングを実施。熱利用者が使用済み紙おむつの供給と給湯利用のほか、紙おむつ処理費および化石燃料削減量等のモニタリングを行う。委託期間は20年4月10日~25年3月31日で、15年のうち4年間を実証期間に設定。実用化に向けたモニタリングデータを蓄積し、再生エネルギーの普及促進につなげる考えで、期間終了後も双方の協議を経、事業の継続を可能とする。
3月19日に余熱回収設備、紙おむつペレット燃料製造設備設置等に係る工事契約を、2億2990万円(うち国補助金1億円)でJFEエンジニアリングと締結。6月の着工、12月稼働開始を予定する。
ペレットを製造する処理機は最大で1日当たり600㎏の紙おむつ受け入れが可能。混合するおが粉は年間35tで、約90tのペレットを製造。運営事業者は施設の年間使用料として120万円を市に支払う。
関口芳史市長は「14年6月に県内初の燃料製造実験がスタートし、運営体制を整えた。使用済み紙おむつの有効利用の道筋をつけたい」とあいさつ。十日町福祉会の村山薫理事長は「年間200tの紙おむつの処理に有効。経費対効果を踏まえ、行政と一緒に努力したい」と抱負を述べた。
使用済み紙おむつの乾燥にごみ焼却炉の排熱を利用する取り組みは国内初。市は総電力の30%を賄う再生エネルギーとしての本事業の割合に関し、30分の0・2、640MWhの発電量と試算している。
【写真=おが粉を混ぜたペレット、村山理事長(左)と関口市長が握手】