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栃木県小山市

小山市、じゃがまいた会館を建設、今年度基本構想、23年度整備

2020/04/25 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は今年度から、間々田のじゃがまいた(蛇まつり)会館整備事業に乗り出す。関東有数の奇祭ながら、知名度不足の国指定重要無形文化財を全国区に押し上げようという試み。奉納会場となる間々田八幡宮近くに専用会館を建設する。2020年度は基本構想、21年度は基本計画、22年度は基本・実施設計をそれぞれ委託。23年度中に着工し、単年度での完成を目指す。当初予算には基本構想策定委託費300万円を措置した。

 間々田のじゃがまいたは、端午の節句に間々田八幡宮境内を主会場に開催される。19年3月、国の重要無形民俗文化財に指定された。国重文指定を契機に一層の文化財保護や啓発活動を推進し、潜在的な観光資源を磨き上げる。地域振興拠点の役割を併せ持つ。

 5月5日の年1回しか観覧することができず、他市町では伝統的な文化遺産の展示には専用会館を持つのが一般的。基本構想策定過程で必要条件を整理し、整備地や施設規模、導入機能を整理。建設地は大型バスの駐車や展開スペースを確保できる適地を絞る。

 7つの町内が竹と稲わらにシダの葉を巻き付けた全長15m、太さ60㌢前後の巨大な蛇を制作。「じゃーがまいた。じゃがまいた。シーガツ(4月)ヨウカ(8日)のじゃがまいた」とはやし立てながら弁天池に入水。掛け声は旧暦4月8日に行われていた名残。

 蛇がとぐろを巻く姿や蛇が参った様子を言い表し、田植えの時期を前に五穀豊穣や疫病退散を祈願する。7体は蛇寄せと称して神社へ向かい、蛇揚げといって一体ずつ社殿を駆け上がる。祈祷を受けた後、弁天池で蛇体を練り回しながら水飲みの儀に臨む。

 弁天池で大暴れした蛇は、地元町会に戻って辻々を練り歩く。蛇まつり終了後は処分される。蛇体が邪鬼を寄せ付けず災厄を託す一方、蛇体入水で豊作を祈念する雨ごいの要素を垣間見ることができる。民間信仰を考える上での基調な資料と国から評価された。

 新緑薫る境内には、春の風物詩を目当てに多くの見物客が集まる。しかし催事以外は訪れる人が少なく、年間を通してにぎわう会館の在り方を模索する。起源や継承の軌跡、写真や動画、実物大の模型の展示、飲食や売店の機能を地元意向を踏まえながら検討する。

 神社参道付近は大型バスが運行できる幅員の広い道路が整備されておらず、神社徒歩圏内に会館を整備する方針。公共交通からのアクセス利便性、観光バスや乗用車の駐車台数を考慮し、候補地を選定する。神社はJR間々田駅から北西約2㎞に位置する。

 市南部玄関口の間々田地区は、国道4号やJR宇都宮線に沿って南北に細長く市街地が形成されている。八幡宮は奈良時代中期の創建とされ、境内の一部を借地する間々田八幡公園は市都市計画マスタープランで環境保護重要拠点に指定されている。

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