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栃木県鹿沼市

鹿沼市下水道施設、汚水と雨水の接続管を確認、必要な予算を措置

2020/05/08 日本工業経済新聞(栃木版)

 分流方式を導入する鹿沼市下水道事業の汚水施設と雨水施設をつなぐ接続管が複数存在することが7日、市議会全員協議会で報告された。公共下水道台帳に記載されておらず、接続管の設置された時期や設置理由は不明という。接続管の1カ所はモルタル充填処理した。追加調査の結果、近接地からも接続管を確認している。

 問題の接続管は黒川終末処理場(上殿町)の第2ポンプ棟近くに布設されていた。管径800㎜、延長約5m。市職員やOBに聞き取りしたところ、過去に同様の指摘があったものの場所は特定できなかった。外部からの指摘を受け、改めて接続管の存在を確認した。

 1987年に第2ポンプ棟を建設した際に、設置されたと推測している。3月27、28の両日、市職員が接続管を土のうと木枠でふさいだ。さらに4月上旬にモルタル充填処理した。衛生管理上不適切な接続であることを認め、議会に陳謝した。

 追加調査の結果、市道0017号線の環境クリーンセンター入り口交差点付近で汚水管と雨水管が交わる接続管を発見。接続管は地表面下を這うように管径800㎜、延長約5m布設され、3500㎜×2500㎜のボックスカルバート暗渠水路へ排水される構造。

 集中豪雨時に汚水流入ピットへの汚水や不明水の流入量が増大した場合、あふれた水が接続管から水路へ流入したとみている。埋設管は地上部に近く、恒常的にあふれた水が流れている可能性は低いと分析。硫化水素の発生は微量で、空気中で薄まるという。

 佐藤信市長は「晴天の霹靂であり、なぜこの時期にこうした問題が出てきたのかが分からない。汚水がどの程度、雨水管に流入したのかは不明。しかしながら直すべきは直し、適切に対応したい。他の公共施設についても管理体制をしっかり整えたい」と発言した。

 議場からは現地確認の必要性を問う声が相次ぎ、増渕靖弘市議会議長の裁定で現地視察が決定。市議らは長靴姿で暗渠排水路に入り、閉管後の現場を視察。汚水管の中で発生した硫化水素の影響でボックスカルバート天井部が変色している姿を目の当たりにした。

 増渕議長らは視察後、市環境部幹部らに「数十年前に築造された管路だからといっても責任の所在は市にある。民間企業なら数代前の社長がやった事案でも現社長が責任を取るのは当たり前。必要な予算をかけ、適切に対処してほしい」と進言した。

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