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栃木県佐野市

葛生義務教育学校、今夏に公告、佐野市、校舎、プール3工種分離、体育館は一括発注

2020/06/06 日本工業経済新聞(栃木版)

 佐野市は、小中一貫校「葛生義務教育学校整備工事」(葛生西3-4-1)を本格化させる。7~8月期に拠点校となる葛生中学校の校舎2棟の大規模改修工事、プール改築工事、体育館改修工事の条件付き一般競争入札を公告。校舎改修とプール改築は建築一式、電気設備、機械設備の3工種分離、体育館は建築一式の一括発注とする。市議会の工事請負契約締結承認後に着工する。2020~21年度の2カ年間にわたる継続費24億2639万1000円を設定。23年4月の開校を目指す。

 施工期間は校舎改修工事の3工種とも17カ月間、プール改築工事は3工種とも15カ月間、体育館改修の建築一式は8カ月間を要する見込み。仮設教室は設置せず、工事期間中の葛生中生徒は近接する葛生小(葛生西1-12-1)の空き教室で受け入れる。

 葛生小では多目的室を改修し、間仕切り設置で葛生中生徒用の普通教室2部屋を用意。教職員は図書館を職員室代わりに使用する。葛生中が所有する備品移設作業の入札は2日に執行し、履行期間は8月下旬までとする。夏休み期間に引っ越しを済ませる。

 新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の全面解除を受け、市立学校の臨時休業は5月31日まで。1日から学校は再開した。夏休み期間は授業時間確保の観点から短縮する。引っ越し作業は児童生徒の授業に差し障りがないよう調整が必要。

 計画では葛生地区の中学校2校(葛生中、常盤中)、小学校4校(葛生小、葛生南小、常盤小、氷室小)を統廃合。施設一体型の修業年数9年間の系統性を編成。市は「4-3-2制」を採用し、1~4年生を基礎期、5~7年生を充実期、8~9年生を発展期とする。

 葛生中は敷地面積3万2000平方m、うち運動場が1万7000平方m。南校舎(管理教室棟)はRC造3階建て延べ3278平方m、北校舎(特別教室棟)はRC造3階建て延べ2397平方m、教室棟東側の体育館はS造一部2階建て延べ1420平方m。

 校舎2棟は1980年11月に建設。両棟は14~15年の2カ年間で耐震改修済み。築40年を迎えることから、長寿命化対策の対象施設となる。1999年12月に改築した体育館は新耐震基準を満たし、市内の小中学校で最大の規模を誇る。

 体育館南側に位置する既存のプール棟は中学生用の規格仕様。小学生の利用を踏まえ、水深が浅い25mプールに改築する。既存プールの解体撤去後の同じ場所に、新プールを整備する。台風19号の災害復旧工事を優先し、開校時期は1年延期した。

 18年度の基本調査、19年度の実施設計とも土澤設計(佐野市)が手掛けた。校舎改修工事に際し、文部科学省へ学校施設環境改善交付金の採択を申請する。統合が含まれるため、補助率2分の1の優遇策が適用される見通し。

 市内の小学生は1981年度、中学生は86年度をピークに減少の一途。少子化に伴う小中学校の小規模化は加速度的に進んでいる。市は義務教育9年間を一体的にとらえ、子どもの成長と学習の連続性を重視した小中一貫教育を規模適正化の有効な手段に据えた。

 集団の中で切磋琢磨する機会が少ない複式学級を解消し施設の老朽化へも対応、適正規模基準に合致させる。通学区域は円滑な自治会活動に支障がないよう現在の中学校区ごとに設定。一部地域は指定区域以外の学校へ通学しており、弊害を改善する。

 統合により廃止となる学校敷地や施設は、利活用策を協議していく。具体策は決まっておらず、学校関係者や地域住民らを交えた十分な検討が必要。学校は地域の歴史やコミュニティーとの結び付きを持ち、地域の実情は様々。理解と協力が得られるよう配慮する。

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