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栃木県足利市

足利市、市民プラザ空調を改修、秋に入札公告、事業費3.3億

2020/08/07 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、市民プラザ文化ホール空調設備改修事業(朝倉町264)に着手する。開館時に設置した水利用による吸収式冷温水発生装置をガスヒートポンプチラー式の空調設備に全面更新。内部基盤に滅菌フィルターを装着し、大勢の観客が集まるコンサートホールの感染症対策を講じる。室外機は屋上に設置し、水害に備える。秋口を目途に条件付き一般競争入札を公告し、市議会12月定例会で工事請負契約締結の承認を求める。総事業費3億3000万円を見込んでいる。

 市民プラザは敷地面積2万2000平方m。文化ホール、本館、西館、身体障害者スポーツセンターの4棟で構成。4棟の総延べ床面積は8531平方m。駐車場は500台。1級河川渡良瀬川右岸側の東武伊勢崎線足利市駅から南に700m地点に立地する。

 敷地北側中央部に位置する文化ホールを囲むような形で西側に西館、南側中央部に本館、東側に身障者スポーツセンターを配置。赤レンガが特徴的な外観。文化ホールはRC造2階建て延べ床面積3330平方m。1982年11月の開館以来、37年が経過する。

 観客席は1階に490席、2階に336席の計826人を収容する。更新に併せ、空気清浄機能を強化。文化芸術の衰退を招かないよう新型コロナウイルス感染症対策に有効な滅菌フィルターを内蔵する。メンテナンスサイクルは比較的長く、交換は業者に依頼する。

 新設するガスヒートポンプチラー式は10基前後を設置。フルオーダーメードとなる見通し。室外機はリハーサル室上部分の屋上に寄せる。市民プラザは標高34mの台地上に立地しているものの、頻発する水害に備えて室外機は屋上に載せるのが妥当と判断した。

 室外機のコンプレッサーをガスエンジンで駆動し、ヒートポンプによって冷暖房を供給。室外機に水熱交換器ユニットを組み合わせた空調システム。電気式ヒートポンプチラーに比べ、消費電力は約10分の1。複数基の設置で高効率運転でき、環境に優しい空冷式。

 現行の冷温水発生装置は地下室にあり、2階の空調機械室からエアハンドリングユニット(室内機)で大空間に大容量の冷温風を送っている。空調設備更新の際には現行の室内機は不要になるため、取り外す。壁の一部を壊し、室外機撤去後に修復する。

 空調の吹き出し口は現行のまま継続使用。吹き出し口の位置が音響の妨げとならないよう設計されているだけに、故障個所を改修の上で利活用を図る。市は「第3次明日の笑顔プロジェクト」と銘打ち、7月補正予算を編成。文化ホールの安全安心度を高める。

 予算計上と同時に全額の繰り越しを決め、施工時期は来年3月から6月までを想定した。施工期間中は閉館する。文化ホールと同様の機能を持つ市民会館は2021年夏の閉館が決まり、市内唯一の大型ホールとなる。市民会館敷地は足利統合高校校地に変わる。

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