記事

事業者
栃木県足利市

足利西高跡地、足利市が都市計画決定へ、映像のまち地区に

2020/10/09 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、旧県立足利西高校跡地(大前町、約4・3ha)を「映像のまち地区」へ都市計画決定する準備に着手した。用途地域を準工業地域へ変更し、地区計画で建築物の用途を映像のまち構想に寄与する地区に制限。招来にわたる「映像のまち構想」を実現させる地区に位置付ける。今年度末の都市計画決定告示を目指す。

 官民一体で映像を基軸としたまちづくりが目標の「映像のまち構想」に取り組んでいる。足利西高校跡地は市街化調整区域の縛りがあり、現状では開発行為を起こすのが困難な状況。民間撮影スタジオの誘致を視野に入れ、地区計画を定める。

 農地法上や都市計画上の制約をクリアし、映像のまち構想を一層促進。民間と行政が協働し、市の産業と観光を大胆に変革。首都圏を中心とした映像制作やロケーション活動の拠点をつくり、スタジオを起爆剤に国内外の様々な映像需要を市に誘引する意向。

 準工業地域は主に軽工業で環境悪化の恐れのない工業業務の利便性を図る地域。環境悪化が大きい工場のほかは、ほぼ建設が可能。建物面積制限は容積率200%、建ぺい率60%。地区計画は地域の特性や実情に応じたきめ細やかなまちづくりのルールを定める。

 新築物件は映像に関する建築物に限定し、壁面の位置、建築物の形態や意匠、垣または柵の構造を指定する。いずれも11~12月にかけ、市民に対する都市計画案の縦覧を予定。意見を募り、市民の理解と協力が得られるのを待って市都市計画審議会に諮る。

 ツッパリが全盛期の1980年代初頭の高校生活を描いたドラマ「今日から俺は!!」の撮影に象徴されるように、足利西高校跡地の撮影需要は高い。2018年秋の放送が好評を博し、今夏には劇場版が公開された。足利西高校跡地のロケは100作品を突破した。

 和泉聡市長の肝いりで14年度に「市映像のまち推進課」を設立。映像のまちを掲げ、様々な情報を発信。ロケ隊誘致に力を入れ、撮影は数百を超えた。足利西高校跡地は校舎や敷地全体を使えるだけに、青春映像やミュージックビデオの撮影に好まれている。

 北関東自動車道太田桐生インターから足利方面に北上し約10分。東京から近距離というメリットがある。敷地南側は足利大学、西側は1級河川松田川に接し、東側をJR両毛線が通過する。沿線の古くて美しい街並みは、映画やドラマの撮影が比較的盛ん。

 ロケーションがもたらす効果で、まちなかの新たな誘客と中心市街地の再生につなげる。日本遺産の足利学校や本堂が国宝指定の鑁阿寺を中心とした観光は、通過型からの転換を図る。映像産業と観光が連携することで、内外に誇れる映像のまちに育てていく。

 伝統産業を残しつつ、新しいビジネスと雇用を生み出す。近隣でロケハンし、撮影作業のベースキャンプ化を想定。撮影セットの組み立てから取り壊し、備品の調達、スタッフの宿泊、食事、交通手段の利用で一定の経済波及効果が期待できる。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら